東北大学大学院医学系研究科・医学部

大学院説明会
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親しみやすいメンバーに囲まれて
未知の領域を探究している実感を持ちながら
まだ知られていない事実の発見を

インタビュー
保健学専攻
分子内分泌学分野 在校生
阿部 優香
Yuka Abe
学年:修士課程2年
出身地:宮城県
2024.05.24

阿部 優香

試行錯誤で結果が変わる実験は思考力を伸ばす機会

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

学部4年時の卒業研究で研究の面白さに触れ、継続していきたいと考えたからです。研究をしていると、実験データが思うように取れない、実験の再現性が確保できないといったさまざまな困難に直面することもあります。しかし、やり方を一つ変えることでぐっと正確なサンプルを得られるようになったり、実験方法の改善につながったりすることがしばしばあります。あるいは、こうすれば別の角度から試薬の作用点を調べられるかもしれない、と発想を転換することで大きな結果を得られる場合もあります。ちょっとした思い付きが実験の改善や新たな結果をもたらすのが研究の楽しいところで、実験についてあれこれと考えを巡らすのは大変でもありますが、自分の思考力を伸ばす機会でもあると思っています。
研究を行うことでまだ世に知られていない事実を発見、発表できる点にもやりがいを感じます。生物学の未知の領域を探求しているという気持ちを大切にしたいです。

●進学してみて、どうでしたか?

大学院生となり、より学会参加の機会が多くなりました。私は日本内分泌学会に所属していて、これまで何度か東北地方会での発表を経験しています。学会へ参加すると他の研究機関の最新の研究内容を知ることができ、知見が広がっているのを感じます。発表に当たっては先生や先輩方のアドバイスを基に入念な準備を行い、研究成果を世に出せたという達成感を得ることができます。今後は横浜での日本内分泌学会総会で発表することが決まっているので、大規模な会場の雰囲気を感じつつ、発表を頑張ってきたいと思っています。
2024年度は卒業研究をしている学部生の指導も行っています。大学院生は自分の研究テーマについて詳細な実験方法などを下級生に伝授することも大切な役割なので、次の世代へつなげるという気持ちを持って指導しています。
卒業研究に引き続き、菅原明先生、横山敦先生には手厚い指導を頂いており、実験の方向性や学会発表のスライド作りなどあらゆる方面で支援いただいています。

たばこが前立腺がんに及ぼす影響を特定し、喫煙防止啓発に

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えてください

研究テーマは「たばこが前立腺がんに及ぼす影響とそのメカニズムを調べる」というものです。前立腺がんはがんの中で患者数が最も多く、かつ増加の傾向にあります。前立腺がんの要因としては肥満、高脂肪食、野菜の摂取不足などが挙げられていますが、喫煙については関連があるという事実に留まっていて、どのようなメカニズムで影響を与えるのかはいまだ不明です。本研究ではたばこが前立腺がん遺伝子の活性化に寄与することが確認されたため、たばこが作用する前立腺がん細胞内の因子を特定することを目標に日々実験を行っています。
現時点ではたばこが前立腺がんの危険因子であるという証明がなく、喫煙により前立腺がんの悪化が生じるという注意喚起が難しい状態です。私はこの現状が危険だと感じ、喫煙と前立腺がんの関係をクリアにすることで、最終的には喫煙防止の啓発につなげていきたいと考えました。現在は前立腺がん細胞を使用した実験が主となっていますが、今後の進捗(しんちょく)によってはマウスを使った実験も検討したいと考えています。

●研究室の雰囲気はどうでしたか?

先生や上級生、下級生との距離が近く、気軽に質問や雑談ができる雰囲気が過ごしやすいと感じています。もちろん実験や論文について話すことも多いですが、授業の選び方やアルバイトについてなど、大学での生活を送るためのアドバイスをもらうこともあります。
研究室としてのミーティングが毎週行われていて、各自が研究の進捗を報告したり、新しく専門雑誌に投稿された論文の紹介を行ったりしています。どちらも自分の研究にとって大変刺激になり、とても貴重な機会と感じます。研究テーマはいくつか系統があるため、自分以外の研究室メンバーがどのような実験をしているのか内容を把握するのも目的の一つです。菅原明先生、横山敦先生を中心として、親しみやすいメンバーばかりなのが自慢の研究室です。留学生の方もいて、コミュニケーションを取っていく中で自然と英語に触れられるのも大きな魅力です。

数多くの分野から興味の対象を見つけ、探究できる

●東北大学の良いところは?

研究に非常に力を入れており、医学系研究科だけでも大変多くの分野、研究室があります。そのため、自分の関心のある内容とマッチする研究室が見つかりやすく、探求心を持って研究に取り組めます。医学系研究科には生物系、化学系の内容を基本とする分野が多くありますが、放射線技術、医工学系、医学情報系など物理学、工学やITとの関連が深い分野も豊富です。生物学と物理学、工学といったように、マルチな知識を活用して研究に取り組むこともできます。
さまざまな出身地の学生と出会えるところも魅力だと思います。出身が異なる方と話していると、地元の名物や風土など面白い話が聞けます。留学生が多く、交流イベントも定期的に開催されているので、気軽に海外の方と話す機会も多いです。
キャリア支援センターでは学生が進路を考えていく上で重要な情報を多く提供しているほか、学生がさまざまな企業を知ることのできるイベントも開催しています。就職活動の際には非常に頼りになるサポートが受けられます。

●今後の目標や抱負を教えてください

大学院修士学生としての生活も折り返しを迎え、できる限り多くの実験結果を残せるように頑張っていきたいと考えています。卒業後は医療機関で臨床検査技師として働きたいので、大学で学んだ知識を臨床の現場ですぐに生かせるよう、知識の見直しをする勉強時間も確保していきたいです。星稜キャンパスで過ごしている今だからこそ、キャンパス周辺のレストランやケーキ屋さんでお気に入りのお店を見つけておきたいとも思います。

mylife

アルバイトのために星陵キャンパスから川内方面へ移動することがしばしばあり、牛越橋を渡っていく時の風景が好きです。春から初夏にかけては、写真のように広瀬川を眼下に一望しながらゆったり歩くのが心地いい季節です。秋は東北大生が芋煮会をすることも多く、広瀬川の河原がにぎわいます。付近に「森の香本舗」という和菓子屋さんがあり、子どもの頃からテイクアウトしています。季節ごとにお菓子の内容が変わり、格別においしく見た目もきれいなのでお薦めしたいです。

写真1

PROFILE
保健学専攻
分子内分泌学分野 在校生
阿部 優香
Yuka Abe

宮城県出身、宮城野高校卒業後に東北大学医学部保健学科 検査技術科学専攻へ入学。4年時の卒業研究より菅原明先生の研究室で研究を始め、卒業後に医学系研究科博士前期課程に進学し、同研究室で研究を続ける。趣味は漫画を読むこと、イラストを描くことで、好きな漫画は「銀魂」「進撃の巨人」「サカモトデイズ」など。