保健学専攻
画像診断学分野
植田 琢也
2021.04.20
大学院説明会
特設ウェブサイト
研究を通して自身のスキルアップを目指したいと思ったからです。研究室配属が決まる前から研究をしたいと思っていましたが、漠然とした目標で進路を決めてしまっていいのだろうかと自問自答しておりました。おそらく研究活動を通して得られるものを想像できなかったのでしょう。しかし、現在もお世話になっている植田琢也教授の下で卒業研究をさせていただき、研究でしか得られないものがあると実感しました。卒業研究ではAIを用いた乳がんの画像診断アルゴリズムの研究を行ったのですが、なぜ解決すべき課題なのか、誰が困っているのか、どういうアルゴリズムで解決へ導くかを考えていきました。普段の自分は難しい課題に直面したときにすぐ逃げてしまうような性格だったので、課題の本質に真摯(しんし)に向き合い研究できたことに感激しました。この研究室で活動をしていくことで、世の中の課題を解決するために必要なスキルを得られると確信し、大学院に進学することを決めました。画像診断学分野は発足して間もない研究室でしたので、そういった環境も相まって自ら学ぶ姿勢が自然と培われていったことも、大学院で自身をスキルアップさせていきたいと思った理由の一つです。
想像以上に充実した生活を送っています。いくつか理由はありますが、最も大きなことは定期的に教授や他の先生とのミーティングやメンタリングの機会があることです。自分の意見を求められることも多く緊張感もありますが、自分の研究や将来の進路についてアドバイスをもらいやすい環境であると思います。そういった先生方との意見交換を通して、物事を俯瞰(ふかん)的に捉える能力が向上したと実感しており、これは大学院ならではの学びだと感じています。現在はコロナにより研究室での研究活動が制限される時もありますが、それでも自分ができることを考えながら自ら探究する向上心を持って研究活動ができていて、非常に満足しています。また私は現在、未来のことをしっかりと見据え医療課題を解決することを目標とした、未来型医療創造卓越大学院プログラムにも在籍しています。そこでは教育学、心理学、経済学、医工学、生命科学など多種多様なバックグラウンドの学生と共に研究活動を行っており、ファシリテーター教員やメンバーからも研究のアドバイスをいただいています。
人工知能(AI)を応用して、マンモグラフィとトモシンセシスという放射線画像における乳がんの画像診断に関する研究を行っています。乳がんは女性の罹患(りかん)率第1位のがんであり、年々増加傾向にあります。早期発見にはマンモグラフィが必要不可欠で、近年ではトモシンセシスと呼ばれる断層撮影が可能な検査も普及してきており、マンモグラフィと組み合わせることにより高い診断能力を発揮できるようになってきています。一方で、乳がんを診断する画像診断医の数は不足しており、医師への負担が増加している傾向にあります。こういった医療者側の課題解決が、結果として患者に対して最大限の医療を提供できることにつながるのではと感じています。この現状にAIを応用し課題が解決できれば、今後の医療に貢献できるのではないかと思い、このテーマでの研究を始めました。
私の所属する画像診断学分野では、放射線科医や放射線技師はもちろん、情報学やデータサイエンティストなどさまざまなバックグラウンドを持つメンバーが所属しています。皆さん非常に仲が良く、良い環境だと感じています。研究テーマに応じてチームを組んで研究活動を行っていることもあり、結束力を高めながら楽しく研究活動をしています。研究室によって特徴はさまざまですので、研究室を見学したり先輩に話を聞いてみたり、ホームページを見たり、さまざまな視点から研究室を調べてみるといいかもしれません。
研究活動や留学などについてさまざまなプログラムが展開されている点だと思います。タイムズ・ハイアー・エデュケーションが発表するTHE世界大学ランキング日本版2021で東北大学が1位に選出され2年連続の1位となりました。実際に多くの学生が東北大学の提供する教育リソースを積極的に活用し、自分のスキルアップ向上に向けて活動しています。個人的には、修士1年時にカリフォルニア大学デービス校の学生とビジネスモデルを学ぶオンライン留学に参加しましたが、このコロナ禍の状況下でも海外の学生と充実した活動できたことは非常に刺激的でしたし、学生に対して充実した環境を提供してくれている東北大学には感謝しています。皆さんもさまざまなプログラムに積極的に参加して自分の可能性を広げ、今後の糧にされるといいかもしれません。
進学してから1年がたち、教授や研究室メンバーをはじめその道の第一線で活躍されている方々のサポートもあり、さまざまなスキルを習得できました。これからはそのスキルを自分のものとできるよう、失敗を恐れずに物事にチャレンジしていきたいと考えています。その第一歩として、自分の研究に精いっぱい取り組み、論文化を目指します。そして、将来的には医療現場で応用できる医療AIを開発していきたいです。チームとしてより良い研究が行うことができるよう、後輩の指導にも力を入れていきたいと思います。
研究活動は全てが思い通りに進むわけではなく、アイデアに行き詰まって思い悩むこともしばしばあります。これは研究者であれば誰もが経験することかと思います。そういった状況でもストレスをため込まず意識を高く保ち続けるために、ランニングなど体を動かしストレスを発散して一度考え事を忘れるようにしています。また、新型コロナの状況もあり最近はあまり行くことができていませんが、友人と大学病院の近くにあるインド料理店「Spice Art(スパイス アート)」でナンカレーを食べながら情報交換を行うなどして、充実した研究生活を過ごしています。
山形県上山市出身。山形県立山形東高等学校を卒業後、2016年4月東北大学医学部保健学科放射線技術科学専攻へ入学。2019年3月に同専攻を卒業、国家試験に合格し放射線技師免許を取得。その後、大学院医学系研究科に進学し、現在在籍している画像診断学分野で人工知能(AI)を臨床医療へ応用するための研究を行う。東北大学未来型医療創造卓越大学院プログラムにも在籍し、多種多様な分野の学生と共に医療分野を含む未来の課題解決に取り組んでいる。