東北大学大学院医学系研究科・医学部

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専門看護師として、研究者として実践積み
痛みで苦しむ患者さんにより良いケアを
対応に悩む医療スタッフのサポートを

インタビュー
保健学専攻
緩和ケア看護学分野 卒業生
重野 朋子
Tomoko Shigeno
卒業年度:2015年度
卒業学位:修士
現在の職場・会社名:一般財団法人三友堂病院 緩和ケア病棟
現在の役職:看護師
2022.05.30

重野 朋子

現場で助けられた経験から、自分も力になりたいと進学

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

がん看護専門看護師の資格を取りたいと思ったからです。国立がん研究センター東病院で働いていた時に、患者さんの対応に困ることがありました。その時に、専門看護師に相談しとても気持ちが楽になり、患者さんへの対応の方向性が見えてきたことが印象に残っています。そこで、私も専門看護師として患者さんや医療スタッフの力になることができたらいいなと考え、専門看護師を目指しました。働くことを考えた時に、専門看護師が少ない地元の山形県で働きたいと思い東北大学大学院に進学しました。

●進学してみて、どうでしたか?

進学に当たって経済的な不安がありましたが、病院から出張として対応いただけたので学業に専念できました。長く臨床で働いていたので、パソコンに向かう日々に慣れるのが大変でしたが、自分で調べること、学ぶことを身に付けられたと思います。がん看護専門看護師の資格認定のために病院実習が必要となりますが、先生方から実習の支援を受け、実習先のがん看護専門看護師の方から多くのことを教えていただいたことが、現在の専門看護師としての活動につながっています。
ゼミでは日本の緩和ケアの動きや最新の知識を得る機会、海外の論文を読む機会を持つことができ、臨床で働いていた時より広い視野を持って考えられるようになったと思います。

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

研究テーマはがん患者の痛みについての疫学調査でした。研究室のプロジェクトの一つにがんの痛みについてのプロジェクトがあり、宮下光令先生から研究をしてみないかと声をかけていただいたことがきっかけです。臨床で働いていた時にがんの痛みで苦しむ患者さんをたくさん見てきたので、がんの痛みについての研究にはとても興味があり、意欲的に取り組めました。がんの痛みについて多くの研究が行われていますが、日本のがん患者さんがどの程度の痛みを抱えているのか、どの病院でも同じような痛みの治療がなされているのかなど、分かっていないことが多いことを知り、少しでも明らかにしていくことが重要だと思いました。研究を行うに当たって、宮城県内のがん看護専門看護師やがん関連の認定看護師に協力していただき、顔の見える関係を築けたことが現在のがん看護専門看護師としての活動の力になっています。

さまざまな視点持つ医師や看護師と議論、現場で見学も

●研究室の雰囲気はどうでしたか?

研究室では、看護師だけでなく医師が研究に参加することもあり、さまざまな視点からディスカッションできる環境です。分からないことは博士課程の先輩に聞くと、丁寧に教えてくださったのでとても心強かったです。現在は研究室から巣立っていったがん看護専門看護師がゼミに参加したり、非常勤講師として講義を行ったりすることもあるので、専門看護師を目指す方にとって良い環境が整備されてきていると思います。がん専門病院でのがん看護専門看護師の活動を見学するなど、希望すれば学びのための支援をしていただける環境もとてもありがたかったです。

●東北大学の良いところは?

東北大学病院に隣接しているので、病院のキャンサーボードの見学など専門的な治療やケアの実践を見ることができることができることは大きなメリットです。仙台という立地も日本全国の学会や研修会に参加しやすく良いところだと思います。

大学院時代のつながり生かし専門看護師として実践重ねる

●現在のお仕事について教えてください。また、大学院時代のご経験はどのように活かされていますか?

修士課程を卒業し、がん看護専門看護師の資格認定を受け緩和ケア病棟で働いています。当院では専門看護師は私一人なので、研究でお世話になった専門看護師の先輩方に相談しながら実践を積み重ねています。大学院時代の人とのつながりがあったからこそ、今まで専門看護師として活動できていると思います。

博士課程でさらに力を付け、臨床に根差した研究続ける

●今後の目標や抱負を教えてください

実践の場における研究を行うことが専門看護師の役割の一つになっていますが、自分で研究する力が不足していると感じ博士課程に進学しました。働きながら研究を行うための時間配分がうまくできず悩みながらの生活です。COVID-19の影響もあり、研究がなかなか進まないのですが、研究を進めて博士論文を書いて卒業することが当面の目標です。臨床に根差した研究をすることを学んでいるので、卒業後も臨床の場における研究を続けたいと思っています。

mylife

最近は県外に出ることができないので、車で通勤する車窓から季節の移り変わりを楽しんでいます。私が住んでいる米沢は、雪が多いので冬は白一色になります。その分春になって、緑が増え桜が咲くととても気持ちが浮き立ちます。自由に旅行ができるようになったら、きれいな景色を見に、おいしいものを食べに旅行したいと思っています。

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PROFILE
保健学専攻
緩和ケア看護学分野 卒業生
重野 朋子
Tomoko Shigeno

千葉大学法経学部法学科卒業。国立千葉病院付属看護学校卒業。国立がん研究センター東病院で、肝胆膵(すい)外科内科、消化器内科、緩和ケア病棟での経験を経て三友堂病院緩和ケア病棟に勤務。2016年東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野博士前期課程修了。2016年がん看護専門看護師資格認定。2020年東北大学大学院医学系研究科保健学専攻緩和ケア看護学分野博士後期課程に入学。三友堂病院に勤務しながら大学院で学んでいる。