拠点リーダー御挨拶

定着と成熟の1年に 2009年の東北大学脳科学グローバルCOE

2009年は東北大学脳科学グローバルCOEの3年目、はじまったばかり、という言い訳はもはや通用せずに、真価を問われる一年になりました。

発足してすぐに手探りで始めた月例のイベント、若手フォーラムは所属や分野を超えた交流を促進した結果、異分野融合特別研究奨励費という新制度を生み、若手研究者による新しいタイプの研究が遂行されています。

脳神経科学サマーリトリート(仙台)は、2回目を迎えて、国際的な教育研究活動の場として成長しつつあり、共催機関の理化学研究所脳科学総合研究センターからも好評を得ています。2010年に入ってすぐに実施した台湾・宜蘭での、脳神経科学若手研究者ワークショップも台湾の複数の大学からの参加を得て、盛況でした。

特色ある教育として始めた、各分野で活躍する理系出身の演者を招くキャリアパスセミナー、ライティングスキルを中心にした英語セミナーなども、恒例化し、充実しました。

また、拠点からの研究成果をもとに5度のプレスリリースが行われ、消化器病の国際学会からは栄誉ある賞を日本人初受賞として福土審教授が受けるなど、脳神経科学の国際的な研究拠点としても成長を続けています。

これらの活動に対して、国による事業全体に対する中間評価では高い評価を得て、この拠点形成を引き続き進めていくよう審査委員の方々から励ましを頂きました。また、東北大学においては、より統合的に脳神経科学研究を進めるために包括的脳科学教育・研究センターという新組織を平成22年度から発足させるということになり、このグローバルCOEの活動が結実して形になりつつある、と言えます。

年末に行われた政府・行政刷新会議による事業仕分けなどの結果、グローバルCOE事業全体に対して厳しい査定が下りました。大学を中心として行われている、主に基礎的な教育・研究活動が、必ずしも多くの方々に届く形で発信されていない、ということを痛感する経験でもありました。私たちはこれまでも、教育と研究の成果を、恒例化した脳カフェ(7月、12月の2度開催:仙台)などを通じて社会と共有する努力をしてきましたが、今後より一層努めることで多くの皆様からの御支援をお願いしていきたい、と考えております。次年度以降、財務的には縮小を余儀なくされるものの、これまでの経験を活かして効率的により広く、脳神経科学分野における先端研究の推進と人材育成を推進していきたいと思います。

2010年2月吉日
東北大学脳科学グローバルCOE
脳神経科学を社会へ還流する教育研究拠点
拠点リーダー
大隅 典子

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