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講義・セミナー名
第18回生命科学青葉山セミナー
開催日時
2008-04-24 17:00
開催場所
青葉山・理学部生物棟共通講義室
概要

講演者(所属): 辻 孝教授(東京理科大学大学院基礎工学研究科・学術フロンティア再生工学センター)

講演タイトル:「次世代臓器置換再生医療を目指した「歯の再生」の戦略と展開」(The strategy and development of the research for tooth regenerative therapy as a future organ replacement regenerative therapy)
講演要旨:
21世紀型の医療システムである再生医療は、「幹細胞」を損傷部位へ移植し、組織や器官の機能を修復する細胞移入療法として臨床応用化に近づきつつある。さらに次世代再生医療として、疾患や傷害を受けた臓器や器官を、生体外で人工的に作製した器官と置換する「臓器置換再生医療」を目指した基盤技術開発が期待されている。私たちは、細胞操作により単一化細胞から器官原基を再構成し、生体内で器官発生させることを戦略として、歯をモデルに研究を進めている。歯は、胎児期の上皮・間葉相互作用によって誘導された歯胚から発生し、歯や歯周組織を構成する複数種の細胞や硬組織、神経、血管などが高度に組織化された器官である。そのため「歯の再生」に向けた基盤技術と臨床応用化の研究は、臓器置換再生医療のモデルケースとして理想的であると考えられている。最近、私たちは、単一化細胞から細胞操作により器官原基を再構築するための「器官原基法」を開発し、正常な構造を有した再生歯を高頻度で発生させることを可能にした。さらにこの再構成歯胚を成体マウス抜歯窩へ移植すると、神経を有した正常な再生歯が初期発生することから、人工的な歯胚移植による歯科再生医療は実現可能性を有すると考えられる。本講演では、器官原基法を中心とした私たちの研究成果を紹介すると共に、歯科再生医療の可能性について考察したい。
参考文献:K. Nakao et al, Nature Methods 4, 227-230, 2007

連絡先:生命科学研究科 情報伝達分子解析分野 水野健作
E-mail: kmizuno@biology.tohoku.ac.jp

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