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講義・セミナー名
東北大学脳科学GCOEセミナーのお知らせ
開催日時
2009-11-11 17:00
開催場所
星陵キャンパス・5号館2階201号室
概要

日時 2009年 11月11日(水)17:00-18:30

会場 星陵キャンパス・5号館2階 201号室

演者 西島維知子 博士
Assistant Professor
Center for Molecular and Human Genetics
The Research Institute at Nationwide Children’s Hospital
Department of Pediatrics, The Ohio State University

演題 脳発達におけるペプチドホルモンセクレチンの作用機序

セクレチンは膵液分泌を刺激するペプチドホルモンとして同定されたが、近年脳での機能が注目されている。我々はセクレチンの脳の発達における作用機序を解明するために、セクレチンとセクレチンレセプターのノックアウトマウスを作製した。興味深いことに、セクレチンレセプターノックアウトマウスでは自閉症に類似した社会行動の異常と記憶形成の異常を観察した。さらに記憶の形成に重要とされる脳の海馬領域でシナプスの可塑性が低下していることを発見した。同部位の神経細胞を調べた所、シナプス伝達の受け手である樹状突起の棘構造(dendritic spines)の減少と異形(多数の未熟型)と神経新生の低下を見いだした。海馬の神経新生の低下は神経前駆細胞の生存率の低下によるもので、 神経細胞の成熟(NeuN遺伝子の発現)や移動には異常が見られなかった。この結果はセクレチンのシグナルが神経前駆細胞の生存に重要な役割を果たしていることを示唆している。セクレチンは 神経幹細胞から神経細胞への分化を誘導する転写因子NeuroD1によって転写が制御されることが分かっており、セクレチンの神経発達における役割を明らかにすることにより、自閉症を始めとする神経発達障害の解明につながることが期待される。

参考文献
Nishijima I, Yamagata T, Spencer CM, Weeber EJ, Alekseyenko O, Sweatt JD, Momoi MY, Ito M, Armstrong DL, Nelson DL, Paylor R, Bradley A., Secretin receptor-deficient mice exhibit impaired synaptic plasticity and social behavior., Hum Mol Genet., 15(21):3241-50, 2006.

連絡先:創生応用医学研究センター 形態形成解析分野(大隅典子)内線8203

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