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講義・セミナー名 |
東北大学脳科学GCOEセミナー「脳血管生認知症モデル動物の開発とその治療法の確立」 |
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開催日時 |
2008-01-11 16:30 |
開催場所 |
星陵キャンパス・5号館2階201セミナー室 |
演者 吉崎嘉一 博士
(国立長寿医療センター研究所・血管性認知症研究部)
演題 脳血管生認知症モデル動物の開発とその治療法の確立
人口の高齢化に伴い認知症患者が増加し、医療上のみならず社会的にも問題となっている。欧米諸国とは異なり、我が国では血管性認知症の比率が高く、予防・治療法の開発が重要である。予防・治療法の開発には、疾患モデルの病態解明とそれに基づいた予防・治療法研究が必須であり、現在までに、いくつかの血管性認知症モデル動物が開発されている。
・アミロイドアンギオパチーモデル
・CADASILモデル
・慢性脳低灌流モデル
・高血圧性血管障害モデル
本研究では、マウスに対して脳外科的に右総頸動脈を絹糸で二重結紮することにより術後約1ヶ月間軽度の脳虚血を導入し、マウスへの負担も少ない新規の慢性脳低灌流システムを開発した。このシステムを施したマウスは皮質下白質病変(脱随・軸索損傷)および認知機能(非空間作業記憶)の低下が認められた。また、このシステムを施したマウスの前頭皮質ニューロンにおいて亜致死的な損傷の蓄積が認められた。現在、白質病変との因果関係について検討を進めている。また、慢性脳低灌流による白質病変には血管内皮細胞に発現するE-selectinを介して脳実質に浸潤する白血球の関与が指摘されており、in vitroにおいてmicroRNAを用いてE-selectinの発現抑制を試みた。また、このシステムを家族性大脳白質脳症CADASILのモデルマウス(変異型Notch3発現マウス)に施したところ、大脳白質病変に加えて血管病変も認められ、現在、その分子メカニズムについて解析を進めている。
本セミナーでは、国立長寿医療センター研究所・血管性認知症研究部において私が行ってきた研究について紹介する。
Keywords: Vascular Dementia, Cerebral Ischemia, E-selectin, CADASIL