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講義・セミナー名
東北大学脳科学GCOEセミナーのお知らせ
開催日時
2010-07-15 16:30
開催場所
加齢医学研究所・大会議室
概要

東北大学脳科学GCOEセミナーを開催いたします。

日時 2010年 7月15日(木)16:30〜18:00
会場 加齢医学研究所・大会議室
演者 勝山 裕 博士
   神戸大学大学院
   生理学細胞生物学講座 発生発達分野
演題 大脳皮質層構造の発生機構と脳機能における役割の解明

大脳皮質の発達は哺乳類の高度な統合的脳機能と関連すると考えられている。哺乳類大脳皮質には脳表面(軟膜)側から脳室に向かう放射軸に沿って層構造を持ったニューロンの配置が観察される。霊長類の新皮質では6つの層が定義され各層の(興奮性)ニューロンには軸索投射や細胞形態の違いから神経回路における機能的違いがある事が示されてきた。また近年では遺伝子発現や生化学的な違いが明らかになっている。重篤な脳機能障害を示す滑脳症患者大脳皮質で層構造が乱れる事などから大脳皮質の層構造が脳の正常な機能に重要な役割を担っていると考えられているが、実験的に示した研究はない。一方で、これまでに大脳皮質層構造形成に関与する遺伝子が多数報告され、そのうちの幾つかはヒト滑脳症原因遺伝子として同定されている。これら遺伝子の機能の詳細な解析によって大脳皮質層構造形成の分子機構が明らかにされると共にヒトの遺伝的な脳障害や精神疾患に関する生物学的知見が得られることが期待される。
 滑脳症の原因遺伝子の1つとしてReelinが報告されている。また近年ではReelin遺伝子の発現量の低下と統合失調症や鬱病などのヒト精神疾患との関連が報告されている。分泌性糖タンパクReelinは受容体ApoER2/Vldlrや細胞内タンパクDab1を介してニューロンの細胞移動(放射移動)を制御するとされている。我々は大脳皮質発生機構と大脳皮質層構造の機能的意義について知見を得る目的でReelin欠損変異reelerマウスやDab1欠損マウスを用いた研究を行っている。本セミナーでは組織学的解析から示唆されるReelinシグナルの新規機能について考察を行い、Reelinシグナルの新規下流因子の機能解析についての最近の実験結果を報告する。また前脳特異的Dab1欠損マウスの行動実験の結果から層構造の機能的意義について考察したい。

連絡先:創生応用医学研究センター 発生発達神経科学分野(大隅典子) 内線8203

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