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講義・セミナー名
第27回脳科学グローバルCOE若手フォーラム
開催日時
2010-08-27 15:30
開催場所
医学部5号館201号室
概要

第27回東北大学脳科学グローバルCOE若手フォーラムのお知らせです
日時:2010年8月27日(金曜日)15:30?18:00
場所:星陵キャンパス 医学部5号館2階201号室

 キャリアパスセミナー
  15:30?16:00 齋藤 真先生
         (東北大学大学院医学系研究科 機能医科学講座 高次機能障害学分野 GCOE助手)

  第3回アカデミア版キャリアパスセミナーです。今回お話頂く斉藤先生は、本学医学系研究科高次機能障害学修士課程を修了後、同博士課程へ進学され、今年4月より同GCOE助手に着任されました。


 講演

  16:00?17:00「CAPS2による有芯小胞分泌と自閉症」 定方 哲史先生 
         (理化学研究所 脳科学総合研究センター疾患メカニズムコア 分子神経形成研究チーム 基礎特別研究員)

  17:00?18:00「ハエからヒトへ:ヒト精神発達障害の遺伝子研究」 小泉 惠太先生
        (金沢大学 子どものこころ発達研究センター 基礎研究部門 相互認識機能基礎研究部門 特任准教授
   /連合小児発達科学研究科金沢校 こころの相互認知科学講座 専任准教授)

  自閉症は、脳発生・発達期の障害であり、その原因は主として遺伝的要因であると考えられています。これまでに数多くの自閉症原因候補遺伝子が発見されていますが、それぞれの遺伝子の機能や障害をもたらす経緯については、未だに多くの部分が未解明のままとなっています。今回お二方には以下のような内容を御講演頂く予定です。

・定方 哲史先生  「CAPS2による有芯小胞分泌と自閉症」 
自閉症は、社会的な相互交渉の質的な障害、言語などによるコミュニケーション機能の質的な障害、限られた興味の範囲や反復的な動きを特徴とする発達障害である。一卵性双生児の自閉症の発病一致率が70-90%と高いことから、遺伝負因の関与が高いと考えられている。世界各国で共通に高い罹患率を示すことから複数の遺伝子による疾患と考えられており、これまでに20以上の候補遺伝子(NLGN3/4, NRXN1, SHANK3,PTEN, CNTANP2, TSC1/2など)が報告されている。これら遺伝子の多くは、シナプスや神経ネットワークの形成と機能発現に関係する重要な分子をコードすることから、神経ネットワークの発達障害が示唆されている。我々は有芯小胞の会合タンパク質であるCAPS2/CADPS2に関してこれまで研究を行ってきた。その結果、CAPS2がBDNF(脳由来神経栄養因子)を含む有芯小胞に細胞質側から会合し、BDNFの分泌を調節していること、CAPS2 KOマウスが自閉症様の様々な形質を示すこと、自閉症患者特異的なCAPS2のアミノ酸変異を起こす一塩基多型が存在すること、一割以上の自閉症患者でCAPS2のexon 3がスキップしていたことなどが明らかになってきた。自閉症関連遺伝子は多数報告されているが、ヒト・マウスで共通して強い関連が示されている遺伝子はCAPS2をおいて他にない。exon 3がスキップしたCAPS2タンパク質は軸索終末部に輸送されないことも明らかになり、自閉症患者においては、BDNFが健常者と異なったパターンで分泌され、神経ネットワークの形成が異常をきたすことで発症にいたるという仮説を提唱した。我々は現在、CAPS2 exon 3 skippedマウスを作製し、解析を行っている。今回は我々の最近の研究結果を元に、CAPS2遺伝子と自閉症の関係について概説したい。

・小泉 惠太先生  「ハエからヒトへ:ヒト精神発達障害の遺伝子研究」 
自閉症に代表されるヒト精神発達障害は、遺伝的要因が主たる原因とされる脳発生・発達期の障害である。その原因と考えられている遺伝子は、ヒト集団遺伝学による解析から既に多数同定されており、自閉症原因候補遺伝子は現段階で100以上がリストアップされている。これらの遺伝子の機能は多岐に渡っており、脳発生・発達段階の何が原因で自閉症に見られるような共通の症状を示すのかは、未だに多くの部分が未解明のままである。講演者は金沢大学COE(平成16年?平成21年)のプロジェクトとして、マウス/ショウジョウバエなど近年多用されるモデル動物を用いた自閉症、発達障害の原因遺伝子解明に取り組んできた。本講演ではこの成果について紹介したい。また、ヒトの「こころ」の研究をショウジョウバエで行う意義や、実際的手法、今後の可能性についても議論してみたい。

 懇親会
  18:00?  参加費  学生:500円 それ以外:1000円

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