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講義・セミナー名
第28回脳科学グローバルCOE若手フォーラム
開催日時
2010-09-24 15:00
開催場所
星陵キャンパス 医学部5号館2階201号室
概要

15:00 ~ 15:30 キャリアパスセミナー
NanNan Guo (東北大学大学院医学系研究科・発生発達神経科学分野・GCOE助教 )

15:30 ~ 16:50 「In vivo細胞生物学による神経細胞移動のメカニズムの解明 」
川内 健史 (慶應義塾大学医学部 解剖学教室 講師 )(JSTさきがけ)

大脳皮質形成において、脳室近辺で誕生した神経細胞は、複雑な形態変化を起こした後に先導突起と呼ばれる太い突起を形成し、放射状突起に沿って軟膜側への長い距離を移動する。神経細胞移動の異常は滑脳症など多くの脳疾患と関連することが知られているが、その分子機構は未解明な点が多い。これまでに我々は、JNK (c-jun-N-terminal kinase) による微小管の安定性の制御や、細胞周期関連分子Cdk5 (cyclin-dependent kinase 5) およびp27(kip1)によるアクチン細胞骨格の再編成が移動神経細胞の複雑な形態変化に必要であることを明らかにしてきた(Nature Cell Biol 2006; EMBO J 2003)。しかし、その後に起こる「放射状突起に沿った神経細胞の長距離移動」については、移動の初期段階(複雑な形態変化)の影響を排して解析することが困難であったため、その分子メカニズムはほとんど分かっていなかった。我々は、放射状突起に沿った神経細胞の移動を直接解析する実験系を確立し、この過程にもCdk5が関与することを明らかにした(J Biol Chem 2010)。さらに我々は、細胞接着分子N-カドヘリンが移動神経細胞と放射状グリアの両方に発現しており、移動神経細胞において、N-カドヘリンがRab5依存性のエンドサイトーシス経路によって細胞内に取り込まれ、Rab11依存性のリサイクリング経路を介して再び細胞膜表面へと運ばれることが、神経細胞の適切な移動に必要であることも示した(Neuron 2010)。本セミナーでは、これらのデータをもとに、メンブレントラフィックおよび細胞骨格制御といった細胞生物学的な視点から、組織・個体における神経細胞移動のメカニズムを考察したい。

17:00 ~ 18:20 「嗅覚神経地図の形成メカニズム」
今井 猛 (理研CDB感覚神経回路形成研究チームチームリーダー )(JSTさきがけ)

哺乳類の嗅覚系において、個々の嗅神経細胞は約1,000種類の嗅覚受容体(OR)遺伝子の中から1種類のみを発現し、その軸索投射先は発現するORの種類によって規定される。従って、匂いの情報は嗅球上の神経地図に二次元的に展開される。この嗅覚地図が発生過程でどのようにして出来るのかは長い間謎であったが、我々は、「ORの違い」が、cAMPシグナルを介して軸索ガイダンス分子の転写レベルへと変換されることで軸索投射位置が規定されることを見出した(Science 314, 657- (2006))。更に、これらのガイダンス分子は、軸索間相互作用を介して神経地図形成を制御していることが明らかとなった(Science 325, 585- (2009))。これらの知見は、神経地図がこれまで考えられてきた以上に、末梢入力どうしの自己組織化によって生じるものであるということを示唆している。

18:30 ~ 19:30 懇親会 参加費 学生 500円、それ以外 1000円

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