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COE第3回
   国際シンポジウム


医学系研究科
21世紀COEプログラム



興奮性細胞カルシウムシグナル伝達
医学系研究科医化学分野 教授 竹島浩

 細胞内Ca2+により筋収縮をはじめ種々の細胞機能が制御されることは広く知られている。細胞内Ca2+上昇は細胞外からのCa2+流入と小胞体からのCa2+放出により引き起こされるが、神経・筋の興奮性細胞においては小胞体Ca2+放出が極めて重要である。我々のグループでは、興奮性細胞の小胞体Ca2+放出機序やその生理機能に注目しており、1)小胞体Ca2+放出チャネルであるリアノジン受容体、2)小胞体膜と細胞表層膜の近接構造の形成に関与するジャンクトフィリン、3)筋細胞のユニークな膜構築に寄与するミツグミン分子群などにおける構造-生理機能に関する研究を遂行する計画である。下図では、上記の分子群の心筋細胞における細胞内局在と興奮-収縮連関における機能を示したものであり、いずれの分子が欠損しても細胞内Ca2+シグナルの異常が発生して収縮機能が障害されることを解明しており、類似分子が他の神経・筋細胞にも存在することを既に明らかにしている。本研究課題は基礎生物学的貢献を目指すものであるが、リアノジン受容体の遺伝子変異は悪性高熱症や家族性頻脈、ジャンクトフィリンの遺伝子変異は2型ハンチントン舞踏病の原因となることが明らかにされており、シグナル伝達病の克服に向けた貢献も期待される。一方、興奮性細胞の小胞体Ca2+放出の調節やそれを可能にする細胞内オルガネラ配置など不明な点も多く残されているので、それらに寄与する分子群の同定を目指す試みも予定している。

心筋興奮収縮連関のCa2+シグナル伝達を構築する分子群

DHPR、L型電位依存性Ca2+
チャネル; RyR、リアノ
ジン受容体; JP、ジャンク
トフィリン; SR、小胞体;
TT、細胞表層膜(横管);
黒点はCa2+を示す。