障害科学専攻
肢体不自由学分野
宮武 ミドリ
2022.05.30
大学院説明会
特設ウェブサイト
学部生の時にリハビリテーションを学んでいく過程で、リハビリの介入や支援法にはまだエビデンスが確立していないものが多く、特に作業療法分野における科学的な知見は発展途上にあることに気付きました。そこで、実際にリハビリの現場に入る前に大学院で学術の場に触れることで、よりアカデミックな視点を身に付け、作業療法分野に貢献していきたいと考えました。養成校の肢体不自由学分野研究室出身の先生に相談し、リハビリテーション研究で長い歴史と多様な研究領域を持つ東北大学大学院の障害科学専攻に進学しました。
自分に研究の才能があるかどうか不安でしたが、進学後、先生方からの指導や所属している研究チームからの的確な助言を頂くことで、少しずつその不安がなくなってきたと思います。解析ソフトの使い方や結果の解釈が分からないときでも、親身に相談に乗っていただき、安心して研究に取り組むことができました。
研究テーマは「脳卒中患者の脳構造と、有効なリハビリテーション介入との関係」です。脳MRIを解析することによって患者さんの神経生理学的特徴を把握し、同じ特徴を持つ患者さんに対する有効な介入法は何か、ということを研究しています。脳卒中は運動機能障害や言語機能障害、高次脳機能障害等を引き起こし、その後の生活に大きな影響を与えます。その障害による不幸を少しでも軽減したいという思いから、脳卒中リハビリテーションの研究がしたいと考えていました。
私の作業療法士としてのルーツは、母親が脳卒中にかかり、リハビリの現場で作業療法を受けているところを見たことです。脳卒中とリハビリの関係は、私の生涯のテーマになると考えています。脳は未知のことが非常に多く、その複雑さに頭を悩ますことも多いですが、その一方で大きなやりがいと面白さを感じています。
肢体不自由学分野研究室の最大の特徴は多様性だと考えています。一人一人がそれぞれテーマを持ち、その内容は神経系、運動器、摂食嚥下(えんげ)、呼吸器系、調査研究など、多岐にわたります。一つのテーマにこだわり続けていると知識が偏ってしまいかねませんが、自分とは異なるテーマを持ったメンバーと議論することで、より幅広い知識を得ることができます。
テーマだけでなく国籍も多様です。多くの留学生が在籍しており、異文化・異言語のコミュニケーションも学べます。進学するまで外国人の方と関わる機会はなかったので、大変勉強になっています。
研究室出身の非常勤講師も多く、そうした方々から研究指導を受けられることも魅力です。
非常に多くの研究設備やリソースが確保されていることだと思います。私が研究で用いているデータも所属している研究室で培われたもので、その恩恵を実感しています。大学病院の機材も使用でき、それを使って実験・計測を行っている院生もいます。
働きながら研究を行うモチベーションの高い院生が多く在籍しており、その方々と議論することで多くの刺激を受けています。研究者としても医療人としても尊敬できる方々と共に活動できることが、最大の利点です。
修士論文の執筆が第一の目標です。自分が出した結果を論文としてきちんとアウトプットすることに想像以上の難しさを感じていますが、少しずつ形にしていきたいです。
修了後は作業療法士として就職し、働きながら博士課程に進学したいと考えています。どのような進路を選んだとしても、修士課程で学んだことを忘れず、患者さんや作業療法に貢献できるように努めていきます。
星稜キャンパス内にある広場です。日当たりが良く、気分転換に最適です。文献を持っていってベンチに座って読んだり、研究で行き詰まったら池の周りをぐるぐる歩き回りながら考えを練ったりしています。
作業療法士。東北文化学園大学医療福祉学部リハビリテーション学科作業療法学専攻卒業後、東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻肢体不自由学分野に進学。関心は脳神経科学とニューロリハビリテーション。