障害科学専攻
肢体不自由学分野
高中 駿
2022.05.30
大学院説明会
特設ウェブサイト
大学を卒業する際、何か一つの分野に特化したプロフェッショナルを目指したいと考え、大学院進学を視野に入れた時期もありました。しかし、栄養学という幅広い分野の中で特に自分が学びたいものを定めることができませんでした。そのため、一度臨床の現場で勤務をし、患者さんとの関わりの中で学びたいと思うものを探したいと考え、大学卒業後は病院で勤務することを決めました。
勤務していた病院は、患者さんの平均年齢が90歳と高く、また誤嚥(ごえん)性肺炎で亡くなる方が非常に多かったため、高齢者のサルコペニア・フレイルや、肺炎を防ぐための摂食嚥下(えんげ)について学びたいと、再度大学院の進学を志しました。嚥下のトレーニングや、高齢者のリハビリテーションについて調べていたところ、現在お世話になっている出江伸一教授のお名前をさまざまな書籍で見かけ、教授にご連絡しました。退職をして大学院で学ぶことに不安はありましたが、オンラインで教授と面談する機会を、大学院説明会では在校生の方とお話しする機会を設けていただいたため、安心して入学準備を進めることができました。
一番驚いたことは留学生の方の多さです。私の同期では7割ほどが留学生です。入学当初は慣れない環境に戸惑いましたが、先輩や同期が自国の文化について教えてくれるなどし、なじむことができました。研究については、先輩や指導教官の先生が研究計画の立て方などを一から指導してくださり、とてもぜいたくな環境の中で学べていると感じています。読みたいと感じた書籍や文献が一通りそろっている医学分館の存在も学びに大きく貢献してもらっています。入学するに当たり不安や迷いはありましたが、それ以上に多くのことが得られているため、来て良かったなと感じています。
研究テーマは「地域在住高齢者の予測努力肺活量と肺炎死の関連に対する血清脂質と筋力の影響」です。近年、肺炎で亡くなる高齢者の方は非常に多く、重要な問題となっています。肺の状態を把握する方法に肺活量の検査があり、指標の低値は全死因の死亡と関連があることが明らかになっていますが、具体的な死因が分かっていません。私の研究では、肺活量の指標の低値が肺炎死のリスクと関連するかを調べています。またそれらの関連に対して、高い血清脂質と強い筋力がどのように影響するかについて仙台市在住の高齢者の皆さんのデータを用いてコホート研究を行っています。
テーマを選んだ理由は、以前の職場に肺炎の患者さんが多かったことから、高齢者の肺炎が栄養状態や強い筋力で改善するのかを知りたいと考えていたためです。所属している研究チームでのディスカッションを通して、得られた結果が臨床現場や社会に対してどのように還元できるかを考えながら研究を行っています。
所属している肢体不自由学分野では、さまざまなリハビリテーション関連の研究が行われています。皆さんそれぞれ専門は異なりますが、出江紳一教授をはじめ、学生の皆さんも、患者さんのQOLの向上や、リハビリ中の苦しみを軽減するためにはどうしたらよいのかを第一に考えながら研究を行っている印象があり、そのような姿勢から学べる機会がたくさんあります。
さまざまなバックグラウンドをお持ちの方々と関わることができる点だと思います。東北大学は建学以来「門戸開放」の理念を掲げており、国際色豊かなメンバーと共に学ぶことができます。
また、学びたいという意欲があれば学生の意思を尊重し、その学生個人に合った学習方法を提示してくださる柔軟性も魅力の一つだと感じています。
これまでの研究結果を基に論文を執筆し、投稿することが一番の目標です。また、統計学や疫学についてもう一度勉強し直すことや、在学中に研究室メンバーに教えてもらいながら中国語や英語を習得することも目標です。
星稜キャンパス近くの中華料理店でいただいた料理の写真です。研究室の方が連れてきてくれました。店員さんもお客さんもほとんどが中国の方で、旅行に来た気分を味わうことができました。食べることが大好きなので、休日は市内の新しいお店を開拓することに励んでいます。仙台市は自然豊かで歩いているだけでリフレッシュになります。
2019年3月藤女子大学人間生活学部食物栄養学科管理栄養士養成課程を卒業後、札幌市内の療養型病院で管理栄養士として勤務。2021年4月、東北大学医学部医学系研究科に入学。