医療系以外からの進学も、充実のプログラムで網羅的に学習

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

大学4年生の頃、進路を改めて考えていた際に認定遺伝カウンセラーという職業を知りました。認定遺伝カウンセラーは遺伝医療を必要としている患者さんやご家族に適切な遺伝情報や社会の支援体勢等を含むさまざまな情報提供を行い、心理的、社会的サポ－トを通して当事者の自律的な意思決定を支援する保健医療・専門職です。当時、認定遺伝カウンセラーは全国に100人ほどでしたが、実際に認定遺伝カウンセラーとして働いている方のお話を伺い仕事内容や求められている役割を知る中で、私自身も患者さんやご家族に寄り添える認定遺伝カウンセラーを目指したいと思うようになりました。ちょうど大学を卒業するタイミングで、東北大学で遺伝カウンセラー養成課程が開講されると聞き、本学への進学を決めました。

●進学してみて、どうでしたか？

遺伝カウンセラー養成課程とのことで、研究・実習と充実したプログラムが組まれていました。私自身はもともと医療系出身ではありませんでしたが、基礎知識から遺伝カウンセラーに必要な技法まで網羅的に学ぶことができました。学会や勉強会、患者会にも参加でき、認定遺伝カウンセラーの先輩方・先生方のお話を拝聴する機会が多く得られたこともモチベーションが高まる良い機会となりました。

アットホームな雰囲気の中で楽しく過ごした2年間

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

出生前診断における男女の気持ちの相違点と共通点に着目し、文献検討を行いました。病院実習で出生前診断の遺伝カウンセリングに同席する機会があり、カップルそれぞれの思いに寄り添う難しさを学びました。それぞれの特徴を理解し、適したサポートを行えるようになりたいと思い、このテーマを選びました。

●研究室の雰囲気はどうでしたか？

同期にも恵まれ、少人数でアットホームな雰囲気の中、2年間を過ごすことができました。1期生でしたので研究室に先輩はいませんでしたが、スタッフの方や実習でお世話になった先生方、同じ専攻の他研究室の先輩など、皆さまからたくさんのことを教えていただきながら楽しい大学院生活を送ることができました。

大学院での試行錯誤が主体的に考え、挑戦する力に

●東北大学の良いところは？

「研究第一」と「門戸開放」の理念が掲げられている通り、世界最高水準の研究が行われていて、最前線で研究をされている先生方の講義を聞くことができること、東北大学病院が同キャンパス内にあり、最先端の医療について学ぶ機会があることなど、大変恵まれた環境にあるところだと思います。少人数の講義が多く、教員との距離が近いことも特徴的です。私は集団授業ではなかなか質問をしにくいと感じるタイプですが、ささいな疑問もその場で解消できたことはとても良かったです。自然豊かなキャンパスで、伸び伸びと過ごすことができるところもいいと思います。

●現在のお仕事について教えてください。また、大学院時代のご経験はどのように活かされていますか？

遺伝性疾患に関する不安をお持ちのクライエントやそのご家族に対し、医師と共に遺伝カウンセリングを行っています。1期生ということで、どのように学んでいけばよいのか試行錯誤の2年間でしたが、自分で主体的に考え、新しい物事に挑戦していく力は現在の仕事にも役立っていると感じています。遺伝カウンセラー養成コースは2019年度から遺伝医療学分野に移管し、私自身も遺伝カウンセラーを目指す学生指導に携わるようになりました。後輩たちが全国で活躍してくれていることもとてもうれしく思っています。

●今後の目標や抱負を教えてください

自分で研究する力や知識が不足していると感じ、大学院博士後期課程に進学しました。仕事と研究の時間配分が課題ですが、職場の理解もあり、大変恵まれた環境でそれぞれに取り組むことができています。学位取得に向けて頑張ります。

キャンパスのすぐ近くに「Cafe de Ryuban」というコーヒー屋さんがあります。テイクアウトもできるので、天気がいい日にはコーヒーを片手に散歩をするととても良い気分転換になります。また、資福寺は仙台の紫陽花寺として知られ、6月の下旬になると境内に植えられたアジサイが見頃になります。新緑の時期も気持ちがよく、散歩にもお薦めです。