活動内容

第8回脳科学GCOE若手フォーラム(08.05.30)

5/30(金)に、第8回東北大学脳科学グローバルCOE若手フォーラムが、東北大学星陵キャン
パス(医学部)にて開催されました。

松本有央先生
講演の様子

 
 松本先生には、「サルIT野における顔分類のメカニズムの解明」と題して講演を行っていただきました。顔の認知は、私達が社会生活を行なう上で欠かせない機能です。
 しかしながら、顔の認知と言いましても、動物の顔か人間の顔かを区別する、というレベルから、どんな個体・誰の顔かを区別する、というレベル、さらに、怒っているのか笑っているのか、という表情の認知のレベルまで、様々な階層があります。
 一方、顔の認知に関わる脳の領域として、下側頭葉(IT野)が知られています。松本先生が所属されたグループでは、訓練したニホンザルに対して、様々なヒトの顔・サルの顔、あるいは、単純な幾何学図形の画像を提示し、そのときの下側頭葉ニューロン集団の活動が測定されました。主成分分析・クラスター分析を応用した巧妙な解析によって、活動の選択性が時間とともに変化する様子が明らかになりました。すなわち、画像が提示された直後(約0.1秒後)には、動物の顔か人の顔か、あるいは単純図形なのか、という大まかな分類に選択的な活動をし、細かい分類 ――どの個体・誰の顔なのか、どんな表情なのか―― に対する選択性は、その約0.2秒後に現れるというものでした。
 ニューロン集団の活動データを解析する手法は非常に興味深いものでした。データ量は膨大で、しかもニューロンが100個あれば100次元のデータが出てきてしまい、なかなか直感的に捉えることは困難です。このような多次元データの次元をいかにして減らし、客観的かつ明快な結果を得るかに腐心されたことがよく伝わってきました。
これを書いている筆者は、もっぱら解析手法に興味を持って聞いてしまいましたが、臨床の現場で相貌失認などの患者さんを診療することもある方々にとっても、興味深いお話であったと思います。
<中島 記>

水波誠先生
講演の様子

 
 水波先生には,「昆虫の学習の基本メカニズム」と題して講演を行っていただきました。昆虫のニューロン数は100万個程度であり,1000億ものニューロンを有するヒトと比べてはるかに少ないにもかかわらず,昆虫は多彩で精緻な行動を発現します。それらの行動を司る脳「微小脳」の情報処理機構を解明することは,ヒトを含めた動物の脳の基礎作動原理の解明にも大きく寄与することが期待されます。本講演では,昆虫の微小脳の情報処理機構に関して,特に学習系の基本メカニズムに焦点を当てたお話をして頂きました。具体的には,報酬情報・罰情報の伝達にオクトパミン作動性ニューロンやドーパミン作動性ニューロンの活動が大きく関与していることを,ドーパミン受容体やオクトパミン受容体の阻害剤を用いた匂いの嗜好性学習や色の嗜好性学習の実験的な検証によって示されておりました。また,記憶の読み出しに関しても,同様の実験によりオクトパミン作動性ニューロンやドーパミン作動性ニューロンの活動が必要であることが示されておりました。そして,従来の昆虫の学習モデルにCS-OA/DA経路を加えた「宇ノ木―水波モデル」の提案によって,これらの実験結果の説明が可能であることを示し,コオロギの2次条件付けを用いた実験的検証によってモデルの妥当性を示されました。さらにそれらの議論から,昆虫の古典的条件付けは,哺乳類の古典的条件付けと同様に,内的表現の生成と記憶想起時のその活性化という「認知過程」を含むという,非常に興味深いお話もご紹介頂きました。
<渡邉 記>

交流会の様子1
交流会の様子2














Copyright © Tohoku Univ. All Rights Reserved.