活動内容

第7回脳科学GCOE若手フォーラム(08.04.25)

第7回東北大学脳科学グローバルCOE若手フォーラムが東北大学星陵キャンパス(医学部)にて開催されました。

 東北大学グローバルCOE発足2年目を迎えた本年度最初の企画にふさわしく新しい試みに取り組みました。若手フォーラムは大学院生や博士研究員自らが、企画・運営することでコミュニケーション能力を養うことを目的としています。この半年間、イベントを共にこなし交流していく内にお互いの研究に興味がわいてきました。
 そこで今回それぞれの分野の研究者の卵が自らの研究発表を行いました。


行動医学分野 柿崎真沙子さん

 最初に行動医学分野博士課程3年柿崎真沙子さんから「パーソナリティと睡眠時間の健康影響 心理社会的要因に関する疫学研究」について、疫学の解析方法から始まって、睡眠とパーソナリティが病気の発症にどう関わるかを発表されました。彼女の研究は、マスコミで大きく取り上げられ話題を呼びました。当時の報道や一般の人たちの感想に対してどう感じたか、論文を読むだけでは分からない話題提供をしてくれました。


高次機能障害学分野 齋藤真さん

 2番目に高次機能障害学分野博士課程2年齋藤真さんから「特発性正常圧水頭症の認知機能障害:術前の特徴と髄液タップ後の変化」と題して、水頭症の症状および発症原因の説明が非常に詳しくなされ、臨床研究ならではのヒトを対象とした水痘症患者に対する治療法の研究成果について発表がありました。




工学研究科 梅舘拓也さん

 3番目の工学研究科博士課程2年梅舘拓也さんからは「アメーバ運動から探るbrain-body interaction」として、生物の「振る舞い」をプログラム(脳)と機構(身体)でどこまでスムーズに再現できるかについての考察と、モデルシミュレーションを見せていただきました。物理の難しい公式が並ぶスライドが、楽しい知見を得る公式のように感じられるほど意欲的な発表に誰もが彼のプレゼン手法を自分の発表に取り入れようと思ったのではないでしょうか。


形態形成解析分野 鈴木亨さん

 最後に形態形成解析分野博士課程3年鈴木亨さんからは「神経堤細胞の上皮・間充織転換過程におけるATF4の機能解析」と題して、鳥類胚を用いた神経発生学の研究発表がありました。興味深いATF4の発現様式を免疫染色の画像を用いて説明して頂きました。






 今回の試みは発表者側も聴講者側もそれぞれ感じ、学び得たものがあるようです。私たちは「脳神経科学」というキーワードをもとに本GCOEの若手メンバーとして研究に取り組んでいます。しかし、同じキーワードでも研究の取り組み方は様々です。そのため、少し研究手法が異なるとなじみのない専門用語・実験手技が並び、それは異分野の研究のように感じます。各発表者は出来る限りイントロを分かりやすくすることに重点におきました。そして、より学生が質問しやすい環境をつくるため間を作ったり、どんな質問にも丁寧に対応していました。そんな同世代の彼らの発表成果・研究への意欲を聞き感じることで、聴講者も自分の意欲の再確認や、さらに目標を上位に再設定することができました。
 今回のフォーラムは無事終了致しました。しかし、課題は少なからずとも残ってはいます。より深い議論をするためにはどうすればよいか、本GCOEの意義である「脳神経科学を社会へ還流する教育研究拠点」に対して自分たちが果たすべき事は何か、社会に貢献するためには今後どう成長すべきか。ここで満足せずにさらに発展を遂げていきたいと思います。

(医学系研究科 形態形成解析分野 梅田稔子)

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