活動内容

第14回東北大脳科学グローバルCOE若手フォーラム

2009年4月24日(金)東北大学星陵キャンパス(医学部)にて、第14回東北大脳科学グローバルCOE若手フォーラムが開催されました。

これまでの若手フォーラムでは、学外から研究者の方をお呼びして講演をしていただくことが多かったのですが、今回は当グローバルCOE(GCOE)の研究室に所属する学生が研究発表を行いました。
発表者は、身体性認知脳科学グループ・石黒研の渡邉航氏、ゲノム行動神経科学グループ・仲村研の侯旭濱氏、身体性認知脳科学グループ・虫明研の宮崎淳氏、そして私(筆者)、ゲノム行動神経科学グループ・山元研の野島鉄哉の4名でした(発表順)。

石黒研・渡邉航氏(写真1)

渡邉航氏の発表テーマは、「脳・身体・環境間の齟齬に着目した適応的ロコモーションの発現メカニズム―ヘビ型ロボットによる事例研究―」(写真1)。
彼らの研究は「自律分散制御」をキーワードとして、ロボットの動きをあらかじめ完全にプログラムしてしまうのではなく、実際に具体的な環境に置かれないと決まらない「遊び」の部分を持たせることにより、より自然な動きを実現しようとするものでした。
写真だけでなくヘビ型ロボットの実機を聴衆に見せながらのプレゼンテーションは、とても解りやすく、また興味深いものでした。


仲村研・侯旭濱氏(写真2)

侯旭濱氏の発表テーマは、「アクチン結合タンパクCoactosin : 神経堤細胞における解析」(写真2)。
彼らはアクチン結合タンパク質であるCoactosinの神経堤細胞での機能を解析するために、電気穿孔法によりニワトリ胚にプラスミドDNAを導入し、形質転換体を作製しました。
この方法を用いてCoactosinの発現を阻害するRNAiコンストラクトを導入することにより、アクチンの脱重合が阻害されました。
静止画だけでなく複数の動画が紹介されており、起こっている現象を具体的にイメージしやすいプレゼンテーションとなっていました。


虫明研・宮崎淳氏(写真3)

宮崎淳氏の発表テーマは、「割り込み課題遂行中の前頭前野の働き」(写真3)。
パソコンで何か、たとえば文章を書いている時に電話がかかってきたら、通話をし、その後またなにごともなかったように元の作業にもどることができます。
このように、ある作業を行っている時に突然やって来る「割り込み課題」をこなした後、元の作業に戻るという時、脳内では何が起こっているのか?
この疑問に答えるべく、彼らはニホンザルに割り込み課題をさせ、その時の前頭前野の活動を記録しました。
視覚的に解りやすいイラストやグラフなどが多用されている発表でした。


山元研・野島鉄哉(写真4)

最後に私、野島鉄哉の発表テーマは、「ショウジョウバエ雄特異的筋肉の、運動ニューロンによる誘導」(写真4)。
ショウジョウバエ成虫の腹部には、雄にのみ大きな筋肉が形成されます。
この筋肉の発生メカニズムについて、現時点で判っている研究結果を紹介いたしました。
また、性行動を制御する遺伝子がこの筋肉の発生を誘導していることから、この筋肉の性行動における機能を解析した結果も報告しました。
後者の研究は、当GCOEの支倉フェローシップの支援により、私自身がフランスの共同研究者のもとに留学して行ったものです。


懇親会(写真5)

フォーラムの後には懇親会が行われました(写真5)。
新年度に入ってはじめての若手フォーラムということもあり、新しくGCOEに加わったメンバーも多数参加しており、新たな人間関係を築くとともにとても充実した時間が持てました。


(文責 : 野島鉄哉 ゲノム行動神経科学グループ•山元研)

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