活動内容

第32回日本神経科学大会サテライトシンポジウム(09.09.15)

日本の脳神経科学分野で最大の規模を誇るのが、日本神経科学学会です。世界最大の北米神経科学会には及びませんが、5,000人以上の会員を擁して、毎年、学会を開いて最新の成果を発表しています。32回目を数える、日本神経科学大会において、東北大学脳科学グローバルCOEは、昨年に引き続いて、サテライトシンポジウムを開催しました。

会場内の様子

 サテライトシンポジウムは、学会で多くの神経科学関係者が開催地である名古屋に集まるのにあわせて、学会の内容に深く関連するものの、より一般的で広い視野に立った議論を行うもの。今回のわたしたちのシンポジウムのタイトルは、「脳・身体・機械−新たな結びつき」。脳と機械を直接つなぐ、ブレイン・マシン・インターフェースが、臨床・実用の段階に近付き始めた現在の状況を背景に、脳と身体と機械の関係性を改めて問い直すもの。平日の昼間の開催にも関わらず、70名程度の参加者の方が集まって下さいました。


ATR脳情報研究所 所長 川人光男氏

 基調講演は、国際電気通信基礎技術研究所(ATR)脳情報研究所 所長の川人光男先生をお招きしました。演題は、「ブレインマシンインターフェース:神経科学の新しい道具」。ATRから最近出されているブレイン・マシン・インターフェース関連の目覚ましい成果を中心に、この分野の日本の進歩を俯瞰しながら、脳科学の応用の未来を考える内容となりました。参加者のアンケートでも、一般の方から「BMI研究に初めて接し高齢化社会に福音をもたらすものと大いに期待しています」との声を頂けるなど、非常に示唆に富んだ内容となりました。



 
 また、東北大学脳科学グローバルCOEからは、身体性認知脳科学グループの拠点メンバーから、それぞれの研究内容をもとにした発表を行いました。参加者の方々に、わたしどもが、伝統に立脚しながらも新しい形で脳神経科学の発展を志向して研究グループを形成していることが伝わったのではないかと思います。

 学術研究の成果を持ち寄る学会には、実は大学や公的な研究所に所属するいわゆる研究者だけでなく、多くの方がいらっしゃいます。出版社、機械メーカー、測定技術を売りにする会社等々。学会開催期間中は、ブース出展などで忙しい方々が、準備の合間を縫って、このシンポジウムに駆けつけて下さったのが印象的でした。学術の発展を、すぐそばで支える方々との相互作用もまた、わたしたちの目指す「社会へ還流する」脳科学のあり方だと考えています。

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