活動内容

第23回東北大脳科学グローバルCOE若手フォーラム

2010年3月11日(木)東北大学星陵キャンパス(医学部)にて、第23回東北大脳科学グローバルCOE若手フォーラムが開催されました。

図1

 今回の若手フォーラムは異分野融合研究報告会として平成21年度の異分野融合研究特別研究奨励費に採択された5人のかたに研究成果について御講演をして頂きました。異分野融合研究特別研究奨励費とは今年度より生まれた本GCOE特有の研究費制度でこの若手フォーラムがきっかけで生まれました。(図1)。



図2

 
 現在の脳科学は生命科学分野のみならず、工学分野、情報科学分野や社会科学分野などの多くの学問に支えられた総合科学として位置づけられています。従って脳科学を包括的に理解するためには、異なる分野間で領域横断型の共同研究が必要とされています。そこで本GCOEの若手グループでは脳科学における新規イノベーションを創出するために異なる領域での共同研究を奨励し、推進しております(図2)


 これまで若手フォーラムにおいて融合研究に向けた様々な試みが行われてきました。例えば、2008年12月19日に行われた第11回若手フォーラムでは「相互理解、興味を広げる」をキーワードにして発表がおこないました。また、2009年6月26日に行われた第16回若手フォーラムでは研究室が独自に持っている『技術の共有』を主眼として企画し、各分野の持っている技術および機器について、プレゼンテーションもしくはポスター発表で紹介しております。従って、今回の若手フォーラムはこれまで行われてきた若手フォーラムの活動成果が実を結んだものであると言えます。


図3

 今回の講演は曽良研の佐藤拓さん(図の上段左)、八尾研の江川遼(図の上段中) さん、仲村研の原田英斉さん(図の上段右) 、糸山研の馬場徹さん(図の下段左) 、石黒研の清水正宏さん(図の下段中) の順番で発表が行われました(図3)。講演では共同研究によって得られた知見や成果のみならず、特に【共同研究することになったいきさつ】について発表して頂くよう講演者の方々にあらかじめ依頼をさせて頂きました。共同研究を行うためには他分野の研究内容や技術を知り、そして相手研究室との綿密な議論による意見のすりあわせが必要になりますが、このことは研究室内のみでの研究活動ではなかなか身に付かないスキルです。従って当GCOEの若手グループにおける異分野間での共同研究を推進するために、発表でどのような経緯で共同研究に至ったのかについて実践例を示して頂き、今後さらなる異分野融合研究の促進に役立てることをコンセプトに今回のフォーラムを運営しました。


 今回の発表を通じて共同研究を行うきっかけとして学会およびその打ち合わせ、セミナー、研究会など多岐におよんでいることがわかりました。この中で注目すべきは、この若手フォーラムでの交流がきっかけとなった共同研究が存在していた点です。このことはこの若手フォーラムが異分野融合研究の橋渡し役となったことを示しており、この点においてもこれまで行われてきた若手フォーラムの活動成果が実を結んだものであると言えます。

図4

 発表後には非常に活発なディスカッションが行われました(図4)。今回は採択からこの報告会まで1年に満たない短い期間ではありましたがそれぞれの講演者の研究成果から萌芽的な要素が伺え、今後さらなる発展が期待されます。また、発表内容からそれぞれの講演者が共同研究者の研究内容について詳細な情報を得ており、そして綿密な議論が行われている様子が伺えました。異分野融合研究に必要なこと、それは【相手を知り、そして己を知る】ことだと改めて思った次第です。


 講演終了後に懇親会がおこなわれ、この日GCOEセミナーを行った大阪大学の内村有邦 博士と共にお酒を交えて有意義な交流になりました。またこの懇親会において今年度でこのGCOEを卒業するメンバーが紹介されました。『人とのつながりは現在だけではなく10年後などの長い時を経てもきっと役立つことがある』異分野の融合研究もまずは人と人のつながりによって生まれます、このGCOEで培われた交流が研究のみならず、広い人的交流にも役立つことを期待しています。

(文責:ゲノム行動神経科学グループ・福田光則研究室・森 靖典)

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