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新アルドステロン測定系におけるアルドステロン産生腺腫スクリーニング基準を検証 ―手術で治る高血圧症を見逃さないために―

原発性アルドステロン症(PA)(注 1)は一般的な高血圧と比較して脳心血管病の発症リスクが 2~4 倍とされています。PAはアルドステロン産生腺腫(APA)(注2)と呼ばれる腫瘍が原因である場合、腹腔鏡手術で摘出したり、ラジオ波焼灼術で腫瘍を焼き切ったりすることで治癒し、高血圧も解消されます。APAを診断するためには、副腎静脈サンプリング(AVS)(注3)という比較的大がかりなカテーテル検査によって判定されます。近年アルドステロン測定法がRIA 法(注4)から CLEIA 法(注5)に変更されました。それ以降、AVSを行うための基準の検証は行われておらずAPAを見逃してしまう可能性がありました。
東北大学病院糖尿病代謝・内分泌内科の小野 美澄助教と東北大学大学院医学系研究科佐藤 文俊客員教授らのグループは、CLEIA法のAPA診断について検証を行い、CLEIA法のAPA診断能はRIA法に比較して優位に高いことを明らかにし、新たな診断基準値を確立しました。本研究は、富士レビオ株式会社との共同研究として実施されました。
本研究成果は米国内分泌学会誌 Journal of the Endocrine Society にて 2024年4月20日にオンライン公開されました。

【用語説明】
注1. 原発性アルドステロン症(PA):副腎という左右2つ存在する臓器から分泌される血圧上昇ホルモン、アルドステロンが、自律的かつ過剰に分泌されることで起こる疾患。アルドステロンの作用によって血圧が上昇し、尿中へのカリウム排泄が亢進することで低カリウム血症を来す。また、アルドステロンは動脈の炎症を惹起し、動脈硬化やそれに伴う心筋梗塞、脳梗塞などの心血管病を引き起こす。
注2. アルドステロン産生腺腫(APA):副腎に発生するアルドステロン過剰分泌をする腫瘍で、通常左右どちらか片方に認める。APAである場合は病変のある副腎を手術もしくはラジオ波焼灼術を行うことでPAは治癒する。
注3. 副腎静脈サンプリング(AVS):鼠径部(腿の付け根)から静脈に細い管(カテーテル)を入れて左右の副腎静脈から採血をして、左右それぞれの副腎からどのくらいアルドステロンが分泌されているのかを調べる検査。一定の基準で左右差がある場合はAPAと診断できる。
注4. RIA 法:放射免疫測定(radioummunoassay)の略。RIA 法は、アルドステロン測定法の一つであり、放射能を利用する。日本では 2020 年度まで RIA 法でアルドステロンが測定されてきた。
注5. CLEIA 法:化学発酵酵素免疫測定(chemiluminescent immunoassay)の略。アルドステロン測定法の一つであり、抗体と抗原の結合反応に由来する光を利用する。以前からアルドステロンの測定に用いられていたが、より精度の高い CLEIA 法が 2019 年頃に開発され、2021 年度以降の原発性アルドステロン症診療に用いられている。

【問い合わせ先】
(研究に関すること)
東北大学病院糖尿病代謝・内分泌内科
助教 小野 美澄(おの よしきよ)
TEL:022-717-7779
Email: yoshikiyo.ono.e5*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

(報道に関すること)
東北大学病院広報室
東北大学大学院医学系研究科・医学部広報室
TEL:022-717-8032
Email:press*pr.med.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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