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細胞解析の新展開:世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発
東京大学大学院理学系研究科教授の合田 圭介、東北大学大学院医工学研究科教授の新妻 邦泰、東北大学大学院医学系研究科助教・東京大学大学院理学系研究科特任助教の菅野 寛志らが主導する国際共同研究グループは、連続波レーザー(注1)を用いた蛍光寿命(注2)の同時多点測定技術を顕微鏡に取り入れることで、世界最高速の蛍光寿命顕微鏡を開発しました。また、微小流路(注3)を流れる細胞を10,000細胞/秒を超える速度で撮影し、多数の細胞の蛍光寿命画像解析を世界で初めて行いました。その結果、細胞内の異なる蛍光分子の識別や、抗がん剤処理された細胞核の状態変化の検出など、さまざまな細胞解析への応用可能性を示しました。本研究で開発した蛍光寿命顕微鏡は、多数の細胞を短時間で詳細に解析できるフローサイトメトリー(注4)として、今後の細胞生物学、病理学、薬理学などに貢献することが期待されます。
【用語説明】
注1.連続波レーザー:出力が時間で変化しないタイプのレーザーです。極めて短い時間の光を繰り返し出力するパルスレーザーとは異なり、比較的安定な光源として利用されます。
注2.蛍光寿命:励起された蛍光分子が基底状態に戻るまでの平均時間のことです(通常ナノ秒程度)。蛍光分子を瞬間的に励起し、蛍光の明るさの減衰を記録するなどして測定されます。蛍光の明るさが変わっても、蛍光寿命は基本的に変動しません。
注3.微小流路:幅1 mm未満の微小な流路(マイクロチャネル)のことです。非常に小さなスケールで流体が制御でき、細胞を一つずつ安定して流すことができます。
注4.フローサイトメトリー:多数の細胞を解析する手法の一つです。微小流路を流れる細胞に一つずつレーザー光を照射し、散乱光や蛍光の明るさを測定することで、細胞の特性を解析できます。
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