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器官解剖学分野の前川 素子准教授らの論文が国際学術誌Progress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry 誌に掲載されました

精神疾患の新規治療薬の開発には、ヒトの病態を再現し、薬効を安定して評価できる動物モデルが不可欠です。しかし、精神疾患の創薬研究で広く用いられているNMDA受容体(注1)機能低下モデルでは、使用するマウス系統による違いが十分整理されておらず、最適なモデルの選択指針がありませんでした。

東北大学大学院医学系研究科器官解剖学分野の吉町 文子医学部学生(研究当時)、大和田 祐二教授、前川 素子准教授らの研究グループは、理化学研究所との共同研究により、NMDA受容体の働きを抑える薬剤であるMK-801(注2)を2週間繰り返し投与したC57BL/6J、ICR、ddYの3系統のマウス(注3)を同一条件で比較し、行動異常やシナプス(注4)異常など、各系統に現れる特徴を体系的に整理しました。その結果、C57BL/6Jマウスでは、精神疾患との関連が示されているシナプス異常と認知機能障害が安定して認められ、精神疾患治療薬の評価に適したモデルであることを初めて明らかにしました。これらの結果から、今回比較した3系統の中では、C57BL/6Jマウスが精神疾患治療薬の評価に利用しやすいことが示されました。本成果は、精神疾患の創薬研究におけるマウス系統選択の指針となり、シナプスを標的とした精神疾患治療薬の前臨床研究(注5)を効率化し、創薬研究を加速することが期待されます。

本研究の成果は、2026年9月8日付で精神医学分野の国際学術誌Progress in Neuropsychopharmacology & Biological Psychiatry 誌に掲載されました。

【用語説明】
注1.NMDA受容体:
神経細胞同士の情報伝達や学習・記憶に重要な受容体。統合失調症など精神疾患との関連が知られており、その働きを低下させた動物モデルは、精神疾患研究で広く利用されている。
注2.MK-801:
脳内のNMDA受容体の働きを抑える薬剤。精神疾患の動物モデルの作製に広く用いられる。
注3.C57BL/6J、ICR、ddYの3系統のマウス:
遺伝的背景が異なる実験用マウス。研究目的に応じて使い分けられている。
注4.シナプス:
神経細胞同士が情報をやり取りする接点。
注5.臨床研究::
ヒトでの臨床試験を行う前に、細胞や動物を用いて有効性や安全性を評価する研究。

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