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唇の動きを脳から読む – 脳磁図を用いて読話効果の時間窓を聴覚野レベルで観測 –

話し声が聞き取り難い環境や、慣れない外国語などを聞き取る時などには、無意識に話し手の口唇の動きを読む「読話効果」が利用され、聞き取りを助けています。読話効果は、眼から入力された視覚情報(話者の発話している顔)と耳から入力された聴覚情報(発話音声)が脳内で統合処理されていることを示すもので、両情報の提示されるタイミングが同じときに最大となりますが、提示のタイミングがズレていても、一定範囲内のズレであれば、読話効果が認められます。これを読話効果の「時間窓」といいます。

東北大学大学院医工学研究科/医学系研究科 聴覚・言語障害学分野 川瀬 哲明(かわせ てつあき)教授、同医学系研究科 てんかん学分野 中里 信和(なかさと のぶかず)教授、耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野 香取 幸夫(かとり ゆきお)教授、加齢医学研究所 川島 隆太(かわしま りゅうた)教授、菅野 彰剛(かんの あきたけ)助教、電気通信研究所 坂本 修一(さかもと しゅういち)准教授らのグループは、この読話効果の特徴の一つである「時間窓」が、早期の聴覚情報処理部位である聴覚野レベルにおいて見出されることを、脳磁図を用いてはじめて明らかにしました。

今回の結果は、脳磁図を用いて読話効果の定量的、客観的評価ができる可能性を示唆します。読話効果は、聴覚情報処理障害や広汎性発達障害など、聞き取り障害を伴うさまざまな脳機能障害において低下する例が報告されており、これら障害の診断や障害の原因を解明する客観的なツールの一つとしても応用が期待されます。

この研究結果は、2016年12月28日午後2時(米国東部時間、日本時間29日午前4時)に米国の科学誌PLOS ONE電子版に掲載されます。本研究は、文部科学省科学研究費補助金の支援を受けて行われました。

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