東北大学大学院医学系研究科・医学部

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ランニングの経験と食の知識を基に
「走るソムリエ」として活躍
確かな理論を築くため研究の世界へ

インタビュー
障害科学専攻
運動学分野 卒業生
Medicine and Science in Sports and Exercise
堤 佳子
Yoshiko Tsutsumi 
博士課程後期 医科学専攻1年
2021.05.07

堤 佳子

マラソン経験で得た仮説を確かめたいと娘と共に大学生に

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

子育てに没頭する傍ら、ランニングと走るための食事について伝える講座を開いてきました。ランニング雑誌の連載や新聞・テレビでも多々ご紹介いただきましたが、民間の資格だけで伝えている自分に納得がいきませんでした。これまでのマラソン経験から自分なりに持っていた仮説を確かめたいと思い、東北大学大学院に運動学分野があることを知り、進学を決めました。娘が高校3年生の時に私も大学院を受験し、晴れて親子で大学生となりました。

●進学してみて、どうでしたか?

2年間で一通りの流れを経験しました。論文の一行一文に根拠の出所を探すというのは苦行でもありましたが、やり切る楽しさを味わうことができました。1年目の冬に、他大学の教授を訪ねる機会があったのですが、その際にいただいたお言葉の数々をまさに体験した2年間でした。

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

呼吸困難感と持久運動能力です。入学当初はマラソン大会での経験から味覚と持久運動能力について研究したいと考えていました。論文をたくさん読み進める過程で、自分が抱いていた仮説のヒントになるワードが見つかり、そのワードから研究に踏み込む形になりました。

開かれた門戸に飛び込み、目標へ向かい自分の足で一歩ずつ

●研究室の雰囲気はどうでしたか?

受験しようと決意して教授室を初めて訪ねた時に、教授の気さくで親しみやすい人柄に触れ、2時間も持久運動について対話ができたことから、迷いもなく飛び込めました。入ってみると留学生が多く、長期履修の方も多いことで気張らずに済みました。娘と同じくらいの年齢の方々と同期入学というのも新鮮でした。医学部卒でなくても受け入れてもらえるので門戸は広いですが、自分が定めた目標に向かって自分の足で進んでいかないと出口が遠のくとも感じました。

●東北大学の良いところは?

総合大学であること、幅広い分野と設備で研究ができること、そして素晴らしい教授陣、講師陣がそろっていることではないでしょうか。ハード面もソフト面も日本に誇れる大学であると思います。

趣味と研究組み合わせ、持久運動能力に関する独自の発信を

●現在のお仕事について教えてください。また、大学院時代のご経験はどのように活かされていますか?

2021年4月から博士課程後期 医科学専攻に在学中です。前期課程で研究したテーマからさらに掘り下げたいものが、まるで樹木の根のように深く伸びているので、後期課程で答えを見出したいと思っております。修了予定は52~53歳ですが、人生、大器晩成です。

●今後の目標や抱負を教えてください

まずは論文投稿、そして国際学会での発表です。趣味のマラソンでは200勝を目標に楽しみながら結果を出し続け、大学院での研究と組み合わせて、持久運動能力に関して、他の方にはできない自分ならではの新しいものを発信したいです。

mylife

コロナ禍でなければ、毎週末マラソン大会に参加していました。県内だけではなく東北各地、関東、関西と遠征にも行っていました。優勝の副賞が楽しみで、特に旅行招待や地場産物がいただける大会を好んで選んでいました。ある年はトータルでお米100kg以上いただいた時もあります。温泉が好きで温泉ソムリエも取得しているので、大会後に秘湯に立ち寄るのも楽しみです。2019年は年間18勝し、2020年は大会がほぼ中止になりましたが、12月に名取サイクルスポーツセンターで行われたフルマラソンでは2時間54分台で自己ベストを更新しました。2021年1月は13カ月ぶりに優勝し、155勝目になりました。いまは厳しい状況ですが、参加するランナーだけでなく、コース上の住民の方々、ボランティアスタッフの方々など皆さまが安心して大会を迎える日が来てほしいと願います。

 

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PROFILE
障害科学専攻
運動学分野 卒業生
Medicine and Science in Sports and Exercise
堤 佳子
Yoshiko Tsutsumi 

1994年新潟大学経済学部卒業。出版社営業、ロンドン短期語学留学を経て、海外旅行添乗員の仕事に就く。2001年サンフランシスコで娘を出産。妊娠中に米国公認会計士の勉強を開始し、産後2カ月で帰国になるが受験し合格。子育てに専念し、娘の入園を機に2004年からランニングを始める。現在マラソン大会通算155勝。2007年に重度の貧血を経験したことから民間資格で食事や栄養について学び、食事改善に努め、「走るソムリエ」として「食べるチカラ×走るチカラ」を伝える講座を行っている。主に自身が作る生米糀(こうじ)と塩糀による料理講座。