公衆衛生学専攻長
医療管理学分野
藤森 研司
2022.05.30
大学院説明会
特設ウェブサイト
かねて研究に興味があり、医療政策について深く学びたいと思っていました。研究については、学部入学当初よりエビデンスを創出する立場に立ってより良い医療の実現につなげたいという思いが強く、卒業研究を行っていく中で研究したいテーマも明確になっていきました。そこで得た研究テーマに関して、DPCデータを活用することで多様な研究に取り組めると考え進学を決断しました。また、研究に関して、公衆衛生学専攻での講義を通して、その土台となる能力を築けると感じたことも理由の一つです。医療政策については、学部で医療に関する知識を身に付けていく中で、人口構成の変化や医療費の増大に挙げられるような社会問題が進展していることを学び、それを解決するためには政策規模でフレームワークを整備していくことが重要だと考えるようになったことがきっかけです。医療管理学分野の先生方は医療政策も専門的に研究されていることもあり、政策の考え方の基礎や提言の仕方について学べると思い、医療管理学分野への進学を決めました。
分野の先生方をはじめとする周囲の方々に恵まれ、充実した日々を過ごせています。大学院入学以前は研究に関する知識が乏しかったため研究生活に不安を感じることもありましたが、充実した講義を通して研究の基本的な能力が醸成されたことに加えて、先生方からの丁寧なご指導のおかげで、順調に研究を進められていると感じています。大学院では自身の研究テーマに向き合う時間が多くあるため、少しずつ研究テーマに関する専門性を高められていると感じられる点は、大きなモチベーションになっています。研究室の特性上、大きなデータを扱う機会も多く、それに付随するスキルを実践の中で身に付けられる点も日々の研究を楽しくする一因になっています。
心不全患者における再入院に焦点を当てた研究をしています。具体的には、再入院リスクファクターの探索に加え、在院日数や外来管理の状態が再入院に与える影響について研究しています。再入院のリスクファクターを特定することで、医療資源を集中させるべき患者さん、注意深く観察する必要がある患者さんを明らかにできます。そのエビデンスを臨床現場に反映させて効果的に医療資源を活用することによって、再入院を抑制することが期待できます。在院日数や外来管理に関しては、それぞれ最適な範囲を検討し非効率的な部分の改善を提言することで、効率的な医療提供体制を実現する一助になると考えています。
心不全は増悪を繰り返しやすい予後を持つ代表的な慢性疾患として知られ、その患者数は日本国内においても世界全体においても増加することが予測されています。再入院は患者さんおよび社会全体の負担にもなり得るという点で、それを予防する手立てを多様な側面から検討することが、患者さん及び社会全体の負担軽減につながると考え、この研究テーマを選びました。
学生の考えを尊重してくださる、非常に温かい雰囲気です。進捗(しんちょく)に応じてリサーチミーティングの時間を取っていただき、研究に関する指導をしてくださるなど、研究を進める上で非常に恵まれた環境にあり、先生方には大変感謝しています。分野の構成員自体は比較的少人数で、個人の自律的な活動が基本になってはいますが、気軽に相談できる環境でもあり、不安なく研究を進められています。
東北大学の理念の一つに「研究第一主義」と掲げられているように、研究に多くの時間を充てることができる点は大きな魅力だと感じています。学生のバックグラウンドが多彩で、自身の分野で活動しているだけではなかなか触れないような領域に触れる機会が多くあり、視野を広められるところも良い点だと思います。
質の高い日本の医療を、世代を超えて提供していけるように、医療政策の立案やその基盤となるエビデンスの創出を通して社会に貢献していける人材になりたいです。
仙台市で毎年冬に行われる光のページェントです。
2022年3月 東北大学医学部保健学科卒業
2022年4月 東北大学大学院医学系研究科公衆衛生学専攻医療管理学分野に進学