interview02

  • 保健学科/検査技術科学専攻4年
  • 赤澤 しおり さん

  • 保健学科/検査技術科学専攻
    臨床生理検査学分野
  • 三浦 昌人 教授

※肩書、役職は取材当時のものです。

臨床生理検査学分野で学べる事と特徴を教えてください。

臨床生理検査学分野では、生理検査全般の教育をしています。臨床検査技師の仕事というのは、患者さんの血液や尿、あるいは組織など、身体から取り出したものを調べることがほとんどですが、生理検査というのは、患者さんと直接接して行う唯一の検査です。代表的なものとして、心電図・肺機能・脳波・超音波検査などがありますが、このような生理検査全般を講義と実習を通して学べるのが当分野です。

研究では、主に心臓における不整脈に関する研究を行っています。不整脈というのは、脈が乱れる病気ですが、近年の日本ではこの不整脈が原因で突然亡くなる人が1年間に7万人に達していると言われています。突然死というのは予期しない24時間以内の死亡を言いますが、その多くを不整脈が占めていると考えられています。このような不整脈が、どのような機序で発生するのかを明らかにすることを目的に研究を行っています。

先生が医療の道を志したのはいつ頃ですか?

高校生の頃だと思いますが、はっきりしたきっかけはなかったように思います。

先生がこの分野を専門にしようと思ったきっかけはありますか。

私は、秋田県の横手市にある平鹿総合病院で初期研修を行いましたが、そこの病院は循環器疾患の治療に力を入れている病院でした。そのときに、救急車で運ばれてきて、目の前で亡くなりかけていた人が、不整脈などを治療することにより、翌日には普通に歩いていて、数日後には元気に退院していくということが何度かありました。このような経験を通して、救急時に患者さんをよくすることの出来る分野ということで循環器疾患に興味を持ちました。循環器疾患というのは、きちんと治療をすると普通の人と同じように良くなり、治療をしないと亡くなるという、白黒がはっきりした病気です。しかし、不整脈の発生機序はまだわかっていませんので、それを解明したいと思い、研究を続けています。

研究を続けている中で、やりがいなどがあれば教えてください。

研究をやっていると、なかなかうまくいかない、予想していた通りの結果が出ないことがほとんどです。ほとんどですけれども、まれに自分が予想していた以上の結果が出てくることがあります。そういうときの面白さを一度経験すると病みつきになります。また、学会などにおいて国内あるいは国外のいろいろな先生方との意見交換やさまざま交流を通して、研究について新しいことがわかってくることも面白いですね。

留学のご経験があると伺っていますが、当時学んだこと、留学しようと思ったきっかけ、留学してよかったことなどを教えてください。

留学しようと思ったきっかけは、私が在籍した頃の第一内科というところはほとんどの人が留学しており、留学するのが当たり前というのがありました。当時、心臓の筋肉の収縮や弛緩などの研究で世界的に有名だったカルガリー大学のタッカース先生の研究に非常に興味を持っており、その先生が仙台に来た時にお話しする機会を頂いて、留学したいと思いました。その後、ご縁があり、2年間カルガリー大学に留学しました。このカナダの留学では研究のこと以外にも本当にいろいろな事を学びました。カナダは人種のサラダといいますが、特にカルガリーは新しい街で、ほとんどがヨーロッパ人の1世か2世でした。私が所属した研究室も、オランダ人・フランス人・中国人・イスラエル人・カナダ人・アメリカ人などの多国籍軍でした。これらの多くの人々が母国の文化を引きずりながら力強く生きているのが印象的でした。また、2年間外国で暮らすことにより、日本にいると気がつかないような日本の長所と短所に気が付くことができたのはよかったと思います。

大学時代でのサークル活動での思い出を教えてください。

大学生の時には医学部バスケットボール部に所属していました。3年生の解剖学実習の時には部活との両立が大変で、その1年間は休みがちでしたが、いろいろな大会を通して、いろいろな人と仲良くなれたということは今でも貴重な財産になっています。特に4年生の時の東医体は東北大が主幹校で、その時に準優勝できたことは懐かしい思い出として残っています。当時の同級生や先輩後輩の先生方とお会いすると、40年経った今でも当時と同じような感覚で会話ができるということを非常に嬉しく思っています。

医学部を目指す受験生へメッセージなどあればよろしくお願いします。

日常生活においてはさまざまな経済活動が中心であり、医療というのはあくまでも社会の裏方あるいは黒子であると考えます。それでも、病院が無い社会を想像すると、病気になったらどうしよう、怪我をしたらどうしようなど、日々の生活がとても不安になるのがわかります。医療の現場は医師、看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、薬剤師などの多くの専門知識と技術を備えたスタッフで成り立っています。人々が社会の表舞台において本来持ちあわせている能力をいかんなく発揮できるように社会を支えていくのが、医療スタッフの責任であると考えます。東北大学は、今後共に医療の現場を担っていけるような多くの若い人材を求めています。

After Talk

インタビューを終えて

取材日 2022年12月13日

  • 保健学科/検査技術科学専攻 4年(取材当時)
  • 赤澤 しおり さん
  • [新潟県立新潟南高等学校出身 ]

今年度の春から三浦先生の研究室にお世話になっており、以前よりもお話しさせていただく機会が増えましたが、普段あまり深くまで聞かないようなお話も今回のインタビューを通して聞くことができ、とても興味深かったです。特に、留学のご経験に関しては以前もよく思い出を話していらっしゃったので、当時カルガリーで先生が何を感じたのかを今回より深く知ることができ、よい機会になりました。

  • 保健学科/検査技術科学専攻
    臨床生理検査学分野
  • 三浦 昌人 教授

秋田県出身。1985年に東北大学医学部を卒業。

東北大学第一内科助手、臨床生理検査学分野准教授などを経て、2017年4月、東北大学大学院医学系研究科臨床生理検査学分野教授に就任。