MESSAGEメッセージ

医学という学問を学ぶ

 東北大学医学部は1872年に「宮城県立医学所」として設立され今年で151周年を迎えます。また、国立大学医学部としては1915年に東北帝国大学医科大学の設立から108周年となります。本医学部はこの100年を越える歴史の中で、「研究第一」、「門戸開放」、「実学尊重」の3つの建学理念のもとに、優れた医学研究者を数多く輩出し、いくつもの大きな研究成果を世に送り出してきました。

 建学理念について説明すると、「研究第一」:研究を第一の使命とし医学部では100以上の研究室で最先端の医学研究を推進しています。「門戸開放」:戦前の大学で唯一、女性や師範学校卒業生を受け入れたことはダイバーシティ重視の先駆けとして高く評価され、そしてなお、分け隔てない医療を提供することを使命としています。「実学尊重」:人類、社会に貢献できる研究成果を創出すると同時に100年以上にわたって北日本の地域医療に貢献しています。この3つの理念に則って教育研究と地域医療を最高レベルで両立していることが本医学部の最大の特徴です。

 皆さんは高校までの学習で多くの知識を学び、その知識をたくさんの試験で評価されてきたことでしょう。しかし、皆さんが学んだ知識というのは過去に既に明らかにされた事実であり、これまでの学習は学問というものではありません。学問とは正解が存在するかもわからない未知なるものを探究し新たな知見を獲得するために行う科学的な営みです。そして医学という学問は、人体の正常や異常の仕組みを解明し法則を発見することで人類の健康を保障し、疾患の予防、診断、治療の方法を見出すことを目的とした科学研究です。

 本医学部では近未来の課題解決に向けた新たな学問を創出すべく、東北メディカル・メガバンク機構と連携したゲノム医学の推進、工学部と連携した医工学研究、大学病院と連携した医療AI研究の推進など、新たな挑戦を始めています。このような東北大学医学部で医学を学び次世代の医療・医学研究のリーダーを目指してみませんか。

医学部長石井 直人

知を楽しみ、医学・医療の礎に

 医学の急速な進歩の中で、優れた医療と創造的医学研究を行っていくには、幅広い好奇心と飽くなき探求心を持って、学びを楽しみ、意欲を持ちつづけることが必要です。これは、医学研究を行う場合のみではなく、臨床の第一線に身をおいている期間においても、最も基本的で大切なことです。基礎医学を学ぶと、意外に早い段階で「未だ分かっていないこと」があることを認識し、臨床に触れると、現在の「医療の限界」を感じることでしょう。医学が進歩すればするほど、その先の「未知」や「解決すべき問題」は増えていくようにすら見えます。誰も気づかなかった現象や原理を発見する機会は医学研究の其処此処にあり、また、臨床を知るほどに新しい治療法を開発する使命感が湧いてきます。

 医学科での6年間を通じて、全人的医療のための幅広い教養と実践的医学を学ぶとともに、知の楽しみ方を身につけ、真理を探究する心を涵養し、我が国の医療、医学研究、さらには科学的発展の礎となっていただくことを望みます。

医学科長高瀬 圭

高度な医学知識・医療技術と豊かな人間性を兼ね備えたヘルスサイエンスの次世代リーダーを育成する

 「すべての人に健康と福祉を」は、国連の持続可能な開発目標の1つです。医学・医療技術の進歩により、生活の質の捉え方など、保健・医療・福祉に関する概念も変化しています。また、医療の高度化に伴い、チーム医療の重要性も増しています。保健学科では、医療ニーズをかかえる人々やご家族を中心としたチームのあり方を探求する倫理観を涵養し、病と共に生きることや健やかな生活を送ることを支える最新の知識、保健・医療の諸問題の解決に欠かせない精緻な技術、新たな健康課題や健康危機に挑む柔軟な思考力・創造力・発信力を修得します。さらに、ヘルスサイエンスの発展を牽引し、人々の健康増進と生活の質の 向上を通して豊かな社会の実現を志す次世代リーダーを育てます。

保健学科長本間 経康