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iPS細胞とゲノム編集技術を用いて 筋萎縮性側索硬化症(ALS)の病態モデルを構築 -病態の全容解明へと前進、新薬開発に期待-

慶應義塾大学医学部生理学教室(岡野栄之教授)、東北大学大学院医学系研究科神経内科(青木正志教授)、新潟大学大学院医歯学総合研究科神経生物・解剖学分野(矢野真人准教授)の共同研究チームは、家族発症歴のある筋萎縮性側索硬化症(ALS)(以下ALS)患者よりiPS細胞を樹立し、神経発生過程における異常を明らかにしました。

ALSは筋萎縮と筋力低下を主症状とした運動ニューロンが選択的に侵される神経変性疾患で、その病態進行は極めて早く、有効な治療法も存在しない指定難病です。ALS患者のおよそ10%は家族歴があり、疾患発症に直結する遺伝子変異を有することが知られています。本研究グループはこのような家族性ALS患者の中でもFUS遺伝子に変異を持つ患者2名からiPS細胞を樹立し、そのiPS細胞を運動ニューロンへと誘導する過程において、遺伝子発現様式の異常やそれに関連するALS患者神経に起こる病態を複数検出することに成功しました。その他にもFUS遺伝子変異をゲノム編集技術(注5)を用いて、人工的に組み込んだiPS細胞を作製し、ALS患者由来のものと同様の病態を再現しました。本研究成果は、ALS病態を培養皿の上で再現したことに加え、これまでに報告されていなかった新たな病態を見出し、その一部が遺伝子発現様式の異常と特定の遺伝子変異に起因することを世界で初めて明らかにしました。本成果がALS病態全容解明への足がかりとなること、ならびにALS治療薬開発への応用が期待されます。

本研究成果は2016年3月17日(米国東部時間)に、国際幹細胞学会 (ISSCR) の公式ジャーナルである「Stem Cell Reports」のオンライン版に掲載されます。

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