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進行がん患者の家族が経験する葛藤

 国立大学法人筑波大学 医学医療系 浜野淳講師、国立大学法人東北大学 宮下光令教授らの研究グループは、緩和ケア病棟で最期を迎えた進行がん患者の家族が経験した家族内の葛藤の実態について検証しました。
 その結果、家族の42.2%が家族内の葛藤を少なくとも1つは経験したと回答し、「ご自身が本来果たすべき役割を十分にしていない家族の方がいると思うことがあった」「患者様の治療方針に関することで意見が合わないことがあった」については、「とても良くあった」「よくあった」「時々あった」と回答した家族がそれぞれ20%以上でした。そして、家族の年齢が若い場合、家族内で意見を強く主張する人がいた場合、そして、病気後に家族内でのコミュニケーションが十分に取れていなかった場合に、家族内の葛藤が増えることがわかりました。また、病気前に交流がなかった家族と連絡をとるようになった場合に、家族内の葛藤の経験が少なかったことがわかりました。
 これまで、がん患者の家族が具体的にどのような葛藤を経験しているのか、どのような家族に葛藤が多いのかということは明らかになっていませんでした。これらの知見は、医療従事者などが、家族内の関係性やコミュニケーションの状況を理解して関わることが、家族内の葛藤の有無に気付くことに役立ち、進行がん患者の家族への支援、そして、患者、家族のQOL(クオリティ・オブ・ライフ)の向上につながると考えられます。
 ただし、今回の研究では、患者が亡くなった後に家族の記憶を頼りに回答してもらっている点、病気になる前の家族内の関係性やコミュニケーションの状況が評価できていない点、日本国内で行った調査のため、国や文化による違いが評価できていない点で限界があります。
 
本研究の成果は、2017年7月25日付で、アメリカ精神腫瘍学会・イギリス精神腫瘍学会・国際精神腫瘍学会の論文誌Psycho-Oncologyのウェブ上で先行公開されました。

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