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iPS細胞を用いて筋萎縮性側索硬化症の新規病態を発見 – 早期治療標的への応用に期待 –
東北大学東北メディカル・メガバンク機構の秋山 徹也助教、東北大学大学院医学系研究科神経内科学分野の鈴木 直輝助教、割田 仁院内講師、青木 正志教授、慶應義塾大学医学部生理学教室の岡野 栄之教授らの研究グループは、ALS患者由来のiPS細胞を用いてALS運動ニューロンの新たな病態を発見しました。
国の指定難病となっているALSは、全身の運動ニューロンが変性する疾患で、手足の筋肉や呼吸に必要な筋肉がだんだん衰えていく病気です。重篤になると車椅子や人工呼吸器が必要となる場合があります。ALS患者の運動ニューロンでは、ニューロンの細胞体から筋肉へ伸びる「軸索」と呼ばれる突起構造が早期に障害されることが知られています。
今回、研究グループは、ALS の原因の一つであるFUS遺伝子に変異を持つiPS細胞から運動ニューロンを作製し、その運動ニューロンの軸索が異常な形態を示すことを発見しました。
さらに、新規マイクロ流体デバイスとRNAシーケンスを組み合わせ、運動ニューロンの軸索形態異常にFos-B遺伝子が中心的な役割を担っていることを見出しました。軸索形態異常はALSの神経変性より先に生じていることから、Fos-Bが早期治療標的となることが期待されます。
本研究成果は日本時間2019年6月29日付け(日本時間)で、オープンアクセス学術誌「EBioMedicine」に掲載されました。