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便秘薬で腎臓病の進行抑制と心血管疾患予防の可能性 ‐腸内環境改善による腸-心臓-腎臓連関を介した新たな治療戦略へ‐

 東北大学大学院医学系研究科および大学院医工学研究科の阿部高明教授、原(南都)文香研究員(現国立研究開発法人農業・食品産業技術総合研究機構研究員)らは、同大学薬学研究科の富岡佳久教授、慶應義塾大学先端生命科学研究所(山形県鶴岡市)の福田真嗣特任教授らとともに、便秘症の治療薬として使用される薬剤リナクロチドが慢性腎臓病の進行を抑え、心血管疾患のリスクを低下させる効果があることを、慢性腎臓病動物モデルにおいて明らかにしました。

 慢性腎臓病は慢性かつ進行性に腎機能が低下する病気で、最終的に透析が必要となる腎不全に至ります。また、慢性腎臓病は心血管疾患の発症率や死亡率を高めることが知られています。近年、腸内環境が腎臓病の病状に影響していることが報告されたことから、腸内細菌の集団(腸内細菌叢)のバランス制御が慢性腎臓病の進行を抑えるために重要であることが明らかとなっています。
今回研究グループは、便秘症治療薬であるリナクロチドが腎不全に伴って悪化する腸内環境を改善することにより、腸内細菌叢由来代謝物質、特にトリメチルアミン-N-オキシドの血中濃度を減少させ、その結果腎臓障害を抑え、心血管疾患のリスクを低下させることを明らかにしました。
 本研究は、リナクロチドが慢性腎臓病に伴う心血管疾患の治療の一助となる可能性を示す発見であり、今後臨床での応用が期待されます。

 今回の研究成果は、2019年8月14日に欧州腎臓協会学術誌 Nephrology Dialysis Transplantation 電子版に掲載されました。 

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