• TOP
  • NEWS
  • 【研究成果】固形がんにも効果のあるヒト化CARの作製に成功

お知らせ

  • 研究成果

【研究成果】固形がんにも効果のあるヒト化CARの作製に成功

京都大学iPS細胞研究所の石川晃大 大学院生(増殖分化機構研究部門・現研究員)、早稲田真澄 研究員(同部門)および金子新 教授(同部門)らの研究グループは東北大学大学院医学系研究科分子薬理学分野 加藤幸成 教授との共同研究として、PDPNを高発現している悪性腫瘍(がん)を効果的に傷害するヒト化CARの作製に成功しました。
 近年、キメラ抗原受容体(CAR)を発現したT(CAR-T)細胞を用いた治療法により、血液がんに対して高い効果が得られ、注目されています。しかし、CAR-T細胞は固形がんに対しては治療効果が低く、有効性を高める研究が多く行われています。治療効果の改善のためにはCAR-T細胞の体内での長期生存能を向上させる必要があり、その解決方策の一つとしてCAR遺伝子配列のヒト化が挙げられます。
 本研究では脳腫瘍などの固形がんに多く発現し、がん患者さんの予後不良と関連するPodoplanin(PDPN)をターゲットにしたヒト化CARの作製を試みました。新しく作製されたヒト化CARであるNZ-27 CARはこれまでに作成されたPDPN特異的CARであるNZ-1 CARと比較してT細胞表面に有意に発現し、PDPN特異的なT細胞活性化シグナルの向上が観察されました。実際にNZ-27 CAR-T細胞はNZ-1 CAR-T細胞と比較してPDPN発現細胞に対する細胞傷害活性能、炎症性サイトカイン産生能、PDPN発現腫瘍に対する抗腫瘍効果が有意に向上しました。この知見はPDPN発現腫瘍に対する抗腫瘍効果を向上させたCAR-T治療の開発につながることが期待されます。

この研究成果は2022年7月5日付で「Genes to Cells」誌に掲載されました。

ページトップへ戻る