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クライオ電子顕微鏡により、ゴルジ体の亜鉛輸送体による亜鉛輸送機構の全容を解明 細胞の亜鉛恒常性維持機構の理解に大きな進展

亜鉛は全ての生物において必須の微量金属イオンであり、分子レベルではタンパク質の立体構造形成や酵素の触媒機能、細胞や個体のレベルでは、遺伝子発現の制御、正常な成長、生殖機能、健康維持において重要な役割を担っています。東北大学多元物質科学研究所のHan Ba Bui学術研究員、渡部聡助教、稲葉謙次教授らの研究グループは、これまで、ゴルジ体に局在して亜鉛を運ぶ分子である亜鉛トランスポーターZnT7やZnT5/6、ZnT4が、ゴルジ体における亜鉛濃度を厳密に制御していることを明らかとしてきました。しかし、これら亜鉛トランスポーターの立体構造は未決定であり、亜鉛輸送の詳細なメカニズムは未解明でした。
今回、同研究グループは、クライオ電子顕微鏡単粒子解析を用いて、亜鉛トランスポーターZnT7の立体構造を2.2Å分解能という高分解能で構造決定することに世界で初めて成功しました。 さらに、亜鉛を放出する直前および直後の立体構造を捉えることにも成功し、亜鉛輸送の一連のステップのほぼ全ての可視化に成功しました。亜鉛トランスポーターファミリーの一般的な分子機構の解明につながることが期待されるばかりか、細胞内の亜鉛恒常性維持機構に関する理解が格段に進みました。

本研究成果は、2023年8月8日に科学雑誌Nature Communicationsに掲載されました。
なお、本研究成果は東北大学大学院情報科学研究科の木下賢吾教授、医学系研究科の加藤幸成教授、京都大学大学院医学研究科の野村紀通准教授、岩田想教授、および東京大学大学院医学系研究科の吉川雅英教授らとの共同研究により得られたものです。

【問い合わせ先】
●研究に関すること
東北大学 多元物質科学研究所 
教授 稲葉 謙次(いなば けんじ)
(生命科学研究科/理学研究科化学専攻 兼担、九州大学生体防御医学研究所クロスアポイント)
Tel: 022-217-5604
E-mail: kenji.inaba.a1*tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

●報道に関すること
東北大学 多元物質科学研究所広報情報室
Tel: 022-217-5198
E-mail: press.tagen*grp.tohoku.ac.jp(*を@に置き換えてください)

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