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抗体創薬学分野の加藤 幸成教授らの論文がCell Stem Cell誌に掲載されました
東北大学大学院医学系研究科抗体創薬学分野の加藤 幸成教授の研究グループは、がん細胞を特異的に攻撃する抗体医薬(CasMab;キャスマブ)の開発を行ってきました。近年、AMED先端的バイオ創薬等基盤技術開発事業において、ヒト上皮細胞増殖因子受容体2(HER2)を標的とするHER2-CasMabを作製し(https://www.med.tohoku.ac.jp/5589/)、令和2年に小野薬品工業株式会社と実施許諾契約を締結しました。
令和6年1月8日には、小野薬品工業株式会社の提携企業であるFate Therapeutics社(米国カリフォルニア州サンディエゴ)は、HER2-CasMabの遺伝子を導入した多重遺伝子編集キメラ抗原受容体(CAR)T細胞製品候補であるFT825/ONO-8250の第I相臨床試験を開始しました(https://www.med.tohoku.ac.jp/5561/)。本試験では、治療歴を有する進行固形がんの患者を対象に、FT825/ONO-8250の単剤療法およびモノクローナル抗体療法との併用療法として、FT825/ONO-8250の単回投与が評価されています。また、本試験の用量漸増パートおよび用量拡大パートでは、安全性、忍容性および薬物動態、並びに奏効率、奏効期間と病勢コントロール率による抗腫瘍活性が評価されています。
本臨床治験に使用されているFT825/ONO-8250の開発の経緯や前臨床試験の全貌が、2025年6月5日公開のCell Stem Cell誌にオンライン掲載されました(https://doi.org/10.1016/j.stem.2025.05.007)。今後も、AMEDスマートバイオ創薬等研究支援事業(https://smart-bio.jp/)において、HER2-CasMabの機能的解析を精力的に進めていきます。
