東北大学大学院医学系研究科・医学部

大学院説明会
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患者さんが日常生活に戻るための
役に立ちたいと志しリハビリを研究
将来の理想の姿をしっかり見据えて奮闘中

インタビュー
障害科学専攻
肢体不自由学分野 在校生
Physical Medicine and Rehabilitation
許 暁萌
キョ ギョウモン
学年:修士課程2年
出身地:中国
2021.05.13

許 暁萌

リハビリを通して患者さんの気持ちを知り、芽生えた思い

●大学院に進学しようと思った理由を教えてください

私は大学4年生の時に、専門的なリハビリセンターで1年間ほど実習しました。患者さんたちは長い間の病気で満足感と幸福感が失われていることに気付き、その複雑な気分と回復を切に望む気持ちがよく分かりました。一方で、多くの重症患者さんがリハビリ治療により、徐々に良くなっていくことを目の当たりにしました。そうした背景から、障害科学およびリハビリ関連領域を深く研究したく、大学院への進学を決めました。ほんの少しでもいいので、患者さんができるだけ早く日常生活と仕事に戻ることを手伝いたいと思いました。

●進学してみて、どうでしたか?

大学院に進学する前に研究経験はまったくなかったので、最初の研究生時期に、どのような研究の方向にするか、具体的にどうやって始めたらいいかと悩みました。しかし、修士課程を学びながら、授業以外のさまざまなセミナーも聴講し、徐々に自分の興味がある研究の方向が分かってきました。論文を広く検索して、先生と先輩たちの研究デザインや測定技術を学び、実際の計測を見学することが、自分の研究計画作成の参考になっています。この成長過程は少し苦労を伴いますが、人生において希少な体験をしていると思います。

運動学と心理学交え、正確な理学治療で腰痛再発を予防

●研究テーマとそれを選んだ理由を教えて下さい

研究テーマは「腰痛経験者における歩行速度および恐怖回避思考による体幹と骨盤の運動学的特性への影響」です。具体的には、健常者と比較して腰痛症状が緩和した人たちを対象に、歩行の観点から、運動学と心理学の特徴を解明する研究です。この研究課題を選んだ理由は、厳密な病因が特定できない非特異性腰痛者が近年ますます増え、特に職業性疾病の一つとして、腰痛再発を予防する上で正確な理学治療を立案することが必要だと思ったからです。指導くださる先生も類似の研究を行った経験があり、研究計画を具体化していくときに、的確な意見と指導をいただいています。

多種多様な先生と先輩たちの下で問題解決能力を育む

●研究室の雰囲気はどうですか?

所属している肢体不自由学分野の研究室ではさまざまな方向性のリハビリ研究が行われていて、留学生も多く、異なる職業に携わっている先生と先輩たちもたくさんいます。私は大学を卒業した後すぐ大学院に進学しましたので、医療現場での臨床経験は全然足りません。ですので、病院で働いている医師や理学療法士、作業療法士、言語聴覚士の方たちから、経験と知識を教わっています。先生や先輩たちがいつも優しく、私の質問に答えてくれるのは本当にありがたいことで、それを通して日本語と英語も著しく進歩しています。

●東北大学の良いところは?

東北大学は総合的な大学ですので、全然違う研究分野の仲間や同期と知り合うことができます。それまでまったく触れてこなかった領域についてもたくさん勉強できます。また、東北大学にはとても多くの外国人が通っているため、日本語コースがあり、国際交流支援室も設けられ、留学生にとって非常に便利で役立っています。研究室でも、先輩たちがチューターを担ってくださり、生活や学業の問題を解決してもらっています。教授と先生たちは自分にとって最も興味のある研究テーマを見つけられるように導いてくださり、研究を具体化していくための問題解決能力を育てることができています。

患者さんが未来の生活に光明を見いだす助けになりたい

●今後の目標や抱負を教えてください

修士2年目ですので、今後の目標は研究協力者に応募し、計測を行い、修士論文を順調に書くことです。修士卒業した後で就職するか進学するかはまだ考え中です。「暗渠(あんきょ)にいながら、星空を見上げる」ように、私は患者さんが未来の生活に光明を見いだすのを助ける療法士になりたいです。将来にはリハビリ治療や研究などをより多くの人に理解してもらい、より多くの患者さんが生活や仕事に復帰するのを支援する医療現場の経験と臨床能力を備えたいと考えています。

日本で初めて女性の入学を認めた「門戸開放」の東北大学

●日本の、東北大を選んだ理由を教えてください

東北大学の研究者は、おのおのの研究分野に対していつも真剣な態度で向き合っていることで有名です。「研究第一」「門戸開放」「実学尊重」の理念はよく聞いていて、大学のリハビリ治療専攻の先生たちも過去に東北大学で学んだことがありました。私は学部時代に東北大学で学ぶチャンスを逃したため、修士課程に進学することを希望しました。東北大学は日本で初めて女性の入学を認めた理科大学であることも魅力の一つに感じました。

●仙台の暮らしはどうですか?

仙台で暮らし始めて2年目ですが、日常生活と交通の面でとても住みやすいまちだと思います。東京と大阪のような大都市と比べて自然が豊かで、海が近く、森もいっぱいあります。最も新鮮に感じたのは冬の雪で、とても美しくて、一年の中で一番好きな季節になりました。

mylife

秋の日に医学部6号館前で撮った写真です。星陵キャンパスで一番きれいなところだと思います。研究室に行くとき、この隅を見て、心を癒やしています。風が吹いて木の葉が擦れ合う音も気持ちを落ち着かせてくれます。季節や天気によって全然違うイメージを与えてくれて、いつも新鮮に感じられます。

 

写真1

PROFILE
障害科学専攻
肢体不自由学分野 在校生
Physical Medicine and Rehabilitation
許 暁萌
キョ ギョウモン

中国江蘇省出身。2019年6月に南京医科大学リハビリテーション治療専攻、作業療法学科を卒業。2020年4月に東北大学大学院医学系研究科障害科学専攻 肢体不自由学分野の修士課程へ入学。現在、修士課程2年。