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大学院特集2019
2017.11
障害科学専攻 内部障害学分野
上月 正博 教授
Q. どのようなテーマで研究をされていますか?
わが国は超高齢社会となり、治療で何とか救命できても運動機能や生活機能が失われたり、複数の疾患による重複障害を呈する人が激増しています。当教室では、心臓・呼吸・腎臓機能障害や代謝障害など内部障害、超高齢社会における重複障害、臓器移植前後などのリハビリテーション、さらには、骨格筋微弱電気刺激、QOL、ADHDの簡易スクリーニング、などの研究を行っています。
当教室から発信した主なものとして、国内初および最多の脳死肺移植例のリハビリテーション、肝肺症候群や心不全のリハビリテーション、腎臓機能障害動物モデルでの運動による腎保護作用の発見と機序解明、腎臓リハビリテーションの臨床応用、重複障害のリハビリテーションへの取り組み、などがあります。
Q. 専攻の特徴を教えて下さい。
障害医学の研究を専門的に行うわが国唯一の独立専攻の大学院(修士・博士課程)であることです。リハビリテーション医学講座など所属分野の教官の指導のもと、分子生物学、生理学、心理学、社会科学などさまざまな手法により、障害の評価・発症予防・治療・研究を行います。また、臨床研究の場として東北大学病院や関連病院を持ち、医師および医師以外の医療従事者、教育者など多職種が集まって研究するため、広い視野と新しいブレークスルーがあるわけです。背景の異なる大学院生各自の特徴を踏まえた研究を行うため、必然的に大学院生各自が非常に興味のあるテーマとなり、研究することにやりがいを感じる人が多いです。
Q. どのような学生に大学院に来て欲しいですか?
いろんな方にきていただきたいです、現在、教室では留学生9名を含めた多様な学生を受けいれていますし、社会人にも門戸を開き、北は青森から、南は大阪、沖縄までいろんな方が参加しています。大学院ですから学生が主体的に動く必要があります。ただ、学生の背景、能力、希望はさまざまであり、必要に応じて初歩的な研究計画の立て方や文献収集の指導から丁寧に指導しています。素直に物事に取り組む学生が伸びる傾向があります。これまで、医師、看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、スポーツ・福祉系教員、栄養士、運動学士、薬剤師、心理士、音楽療法士など様々な職種の国際色豊かな人々が卒業し、国内はもとより世界の国公私立大学や病院などの教育職や医療職などに就いて活躍中ですので、大学院生の育成には自信があります。
Q.医学部で研究するということはどんな意義があるでしょうか?
医学系研究科障害科学専攻で研究することは、もちろんとても大きな意義があり、生涯の宝になると思います。まず、障害を抱える患者や家族とじかに接することができるので、これまでの論文一辺倒の固定概念を打破し、本当に役に立つ研究とはどのようなものかを識別することができるようになります。また、大学病院では先進医療を行っているので、将来を先取りして今後増加する疾患や障害に対する研究手法や対策法を身につける大きなチャンスです。リハビリテーションに関する大学院は全国にも増えており、通常は出身大学や同じ職種の大学院に入ることが多いと思います。また、病院や学校で医療職、教育職として勤務しても、ロールモデルを通常は同じ職場で探すことになり、いずれにしても視野を広げるには限界があります。障害科学専攻での経験や姿勢は、卒業後に皆さんが将来にわたって生き生き仕事を続けるのに必ず役立つはずです。
※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。