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神経膠腫の遺伝子変異に対する新たな診断技術の開発 〜イムノウォールIDH1遺伝子変異迅速マイクロ診断デバイス~

名古屋大学大学院医学系研究科(研究科長・髙橋雅英)脳神経外科学の夏目敦至(なつめあつし)准教授、名古屋大学大学院工学研究科(研究科長・新美智秀)化学・生物工学専攻の馬場嘉信(ばばよしのぶ)教授、及び東北大学大学院医学系研究科(研究科長・下瀬川徹)地域イノベーション分野の加藤幸成(かとうゆきなり)教授を中心とした研究グループは、神経膠腫の変異遺伝子であるIDH1変異に対する迅速診断デバイスであるイムノウォールを作成し、その有用性を確認しました。
 WHOグレードⅡ、Ⅲの神経膠腫は、成人の原発性脳腫瘍の中で最も頻度の高い腫瘍です。IDH1遺伝子変異は、グレードⅡ、Ⅲの神経膠腫の約80%で認められることがわかり、その遺伝子診断を迅速に行うことでよりすばやくグレードⅡ、Ⅲの神経膠腫とその他の脳腫瘍を区別でき、手術中に正常の脳と腫瘍の境界を判断する際にも役立つと考えられます。
 現在の一般的なIDH1遺伝子変異解析方法は、少なくとも1−2時間以上の解析時間を要します。また、手術で摘出した腫瘍が確定診断されるまでに解析される時間は、数日掛かります。しかし、この研究グループが開発した迅速診断デバイスであるイムノウォールは、新しい遺伝子変異マイクロ診断デバイスであり、IDH1遺伝子変異に対するモノクローナル抗体(注2)HMab-2をイムノウォールに固定化し、マイクロ流路内で腫瘍細胞から抽出したタンパクを反応させ免疫学的解析を行い、変異の有無を15分足らずで診断できます。
 本研究成果により、イムノウォールはグレードⅡ、Ⅲの神経膠腫におけるIDH1遺伝子変異の迅速診断に有用であり、術中診断への活用や他の分子診断への応用が期待されます。
 本研究成果は、国際科学誌「Science and Technology of Advanced Materials」(英国時間10月4日付の電子版)に掲載されました。

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