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BMI×ゲノムで2型糖尿病の遺伝的リスク予測精度を向上 〜やせているのに糖尿病になりやすい体質〜
大阪大学大学院医学系研究科の小嶋 崇史さん(遺伝統計学 博士課程/東北大学大学院医学系研究科AIフロンティア新医療創生分野 特別研究学生/理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム 研修生/理化学研究所革新知能統合研究センター遺伝統計学チーム 研修生)、岡田 随象教授(遺伝統計学/東京大学大学院医学系研究科 遺伝情報学 教授/理化学研究所生命医科学研究センター システム遺伝学チーム チームリーダー)、東京大学大学院医学系研究科の山内 敏正教授、門脇 孝東京大学名誉教授、東北大学東北メディカル・メガバンク機構の田宮 元教授(理化学研究所革新知能統合研究センター遺伝統計学チーム チームリーダー)らの共同研究グループは、体格指数(BMI)を使用することで2型糖尿病の遺伝的リスク予測精度が向上することを発見しました(図1)。さらに、集団間の遺伝的な違いを補正できる機械学習手法を組み合わせることで、欧米人集団の豊富なゲノム情報を活用して、日本人集団に対する予測精度のさらなる向上を実現しました。 また、ゲノム解析により、2型糖尿病になりやすい遺伝的体質に関わるメカニズムを明らかにしました。
ゲノム全体の遺伝子変異から算出した2型糖尿病のポリジェニック・リスク・スコア(polygenic risk score;PRS)(注1)は、発症予測や予防に役立つ手段として臨床応用が期待されています。しかし、2型糖尿病が不均一な疾患であることや、ゲノム情報が多く集積している欧米人集団との遺伝的な違いによって、本邦における将来的なゲノム医療の質が低くなることが危惧されています。今回の研究成果は、2型糖尿病の遺伝的リスク予測制度を向上するとともに、将来的に、糖尿病予防や合併症予防といった個別化医療へ貢献することが期待されます。
この成果は、2024年6月11日(火)18時(日本時間)に米国科学雑誌Nature Geneticsにオンライン掲載されました。
【用語説明】
注1.ポリジェニック・リスク・スコア(polygenic risk score;PRS)
ヒトゲノム配列上に存在する数百万カ所の遺伝子変異のうち、疾患との関連が示唆された数十〜数十万の遺伝子変異について、効果量の重み付きの和を個人ごとに計算したスコア。このスコアは実際の疾患発症リスクと相関することが示されており、スコアを計算することで疾患にかかりやすい遺伝的体質を持っているかどうか調べることができる。
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