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大学院特集2016 障害科学専攻

2016.4
行動医学分野
福土 審 教授

Q.どのようなテーマで研究をされていますか?

ストレスと疾患の関係を研究しています。ストレス関連疾患の中でも過敏性腸症候群という病気に最も興味があります。これは、疾患の頻度が高く、多様な疾患との共通性・関連性があり、生活の質に深く関わる障害です。最初はストレスの消化管機能に対する影響、つまり脳から消化管へのシグナルを中心に研究していました。ところが、消化管から脳機能に向かう信号の影響が甚大だということが最近わかってきました。嘗ては、消化管の知覚といった主観を定量化できるのか、疑問に思われていました。しかし、われわれの研究を通じ、主観でサイエンスにならないと考えられていた対象も科学的に研究できることを示すことが出来ています。疾患を分かるには正常を分かる必要があります。成果が臨床に直結するところも面白いところです。

Q.先生が考える障害科学専攻の「強み」を教えて下さい。

障害科学専攻は、疾患の一面的な見方だけではなくて、より健常に近い状態から明らかな疾病の状態まで、健常と疾患の中間の様々な表現型も含めた全体を障害disorderと定義して研究対象としています。障害の要因を分析し、科学として解決できる方法を探ることが障害科学です。
専攻の「強み」は、医師以外の教育歴を持つ人々を最初に大々的に受け入れ、系統的に教育して、社会に応用できた実績が豊富なことです。専攻の分野は医科学専攻も担当し、医師と医師以外の両者に博士(医学)を授与しています。ご存知の通り、アメリカの医学部大学院では医師と医師でない研究者の共同作業が非常に盛んです。多様な才能が交じり合うことでサイエンスをより深く進めることが可能です。障害科学専攻は、その意味でかなりアメリカ的であると言えます。

Q.どのような学生を求めていますか?

最初に問題と思ったことについて解決できるまで努力する、初志貫徹する学生を求めています。重要だと直感した問題を最後まで突き詰める事ができる、古い言い方だと「根性」がある学生が欲しいですね。仮説が自分に都合良く証明できればいいですが、寧ろ仮説とは全く違った意外な結果のほうが科学的に重要であることも少なくありません。研究者の思いつきなどたかが知れています。それより生体・自然のほうがずっと深遠です。その時に、意外な結果からどのように宝に気付けるか。研究者で興味深い仕事をした人たちを見ていますと、最初から簡単に問題を解決できたとは限りません。研究をしていく中で様々な問題や壁にぶち当たって、なかなか回答が出ない時期を通して、様々なアイデアを出し、諦めずに研究を続けていくことによって、あるところで急に物事に進むようになるのです。そういった、物事を深く考えられる学生を求めています。

Q.障害科学の学位はどのように受け止められていますか?

国際的には、博士(障害科学)はPhD、修士(障害科学)はMSで、スタンダードな学位です。国内では、ユニークな学位であり、医学系研究科で教育を受け、障害科学のプラスアルファを有する人材として評価されています。実際に、専攻からは全国の医療関係の大学に教授や准教授をたくさん輩出しています。企業の就職も順調です。修了生は医学プラス障害科学の強みを活かし、新しい側面から健康と疾病の問題に取り組んでいます。障害科学は今後の世界の高齢化、慢性疾患や機能障害の増加から社会の主要領域になることは確実です。それを得意にしている少数精鋭の専門家として修了生は貴重視されて行くでしょう。

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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