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大学院特集2018 保健学専攻

2017.5
災害科学国際研究所 災害放射線医学分野/保健学専攻 放射線検査学分野
千田 浩一 教授

Q.どのようなテーマで研究をされていますか?

現在、放射線検査学分野と災害放射線医学分野という2つの分野を担当しています。放射線検査学分野では、医療放射線の安全管理評価と放射線をつかった医療機器の品質管理を研究しています。安全管理評価では、放射線検査に伴っておこる被曝計測や放射線防護、評価を行います。品質管理の方では放射線機器の性能試験法の開発や、さらにたとえば放射線の線量を下げると被曝もさがりますが、画像が劣化し診断能度が低下してしまいますので、そのバランスをとるために最適化というものを行います。今日、医療の放射線検査は日々進歩し、いろいろなところで行われていますが、患者さんだけでなくてスタッフの被曝も重要な問題ですので、研究のニーズが非常に高いです。

もう一つの、災害放射線分野では、放射線災害時の被曝影響、主に評価や測定方法に関して研究しています。福島原発関連の風評問題にたいしては、放射線や被曝に対して正しい知識がないことが原因だと考えられますので、それをどういう方法で一般市民等に正しく伝えるかということに取り組んでいます。福島の方に対してアンケートを行い、結果をパンフレットにまとめて配布しています。これまでは福島県内でこのような啓蒙活動を行ってきましたが、今後は、福島以外の地域に対して放射線被曝などに対する正しい知識の普及をおこなっていけたらと考えています。
いろいろな研究成果について、特許出願などもおこなっております。

Q.保健学専攻の特徴を教えて下さい。

保健学専攻は、看護学コース、放射線技術科学コース、検査技術科学コースの3つのコースから構成されており、東北大学の建学の理念である研究第一主義のもとに、国際的に活躍できる研究者の育成を目指しています。私が所属する放射線技術科学コースですが、様々なバックグラウンドを持った人達がいることが特長のひとつです。医師や放射線技師、その他の理工系出身の、多様な視点をもった教員の指導のもと、様々な学生が集まり、日々議論をかわしています。また、コースの特長としては、放射線の各領域を専門とする各分野の院生や教員が研究室の垣根を越えて一同に集まる、週に一度行われる合同セミナーがあり、様々な観点から議論を深めることで新しい研究シーズの発見にも役立っています。さらに教員・学生間でリラックスできるゆとりのある時間(たとえば楽天イーグルス観戦など)をもっている分野も多く、研究推進にも有用と考えられます。保健学専攻では、研究や社会貢献しながら将来のキャリアパスを見つけることもできます。

Q.どういう学生に大学院に来て欲しいですか?

多様な学生さんを受け容れていますが、保健学の特徴としては、社会人に対して門戸を開いていることです。医療分野で放射線を扱うような業務の現場から生じた疑問点を解明したいという人も多く、そういった当分野の社会人学生は、北は北海道から、南は大阪までいろんな方が参加しています。当分野のような医用放射線管理等が専門の大学院コースがある大学は日本に少ないので、いろいろなネットワークから当分野に興味を持ってくれる場合もあります。もちろん学部から直接大学院へ進学する学生も多く、その場合は修士終了までの6年一貫教育を推進しておりますし、さらに継続して博士後期課程に進む学生もおり、博士学位取得後、多方面にて活躍しております。特にこうという要望はありませんが、共通して感じるのは、素直に物事に取り組める学生さんが伸びている傾向があるということですね。

Q.医学部で保健学を研究するということはどんな意義がありますか?

保健医療を実施する学問は、今日のような超高齢化社会において非常に重要になっていくと思います。研究第一主義のもと目先の成果にとらわれ過ぎずに、基本からじっくりと研究に取り組む姿勢を体得できます。保健学の社会的ニーズは非常に高まるなか、研究者や教育者になるには学位は必要になってくると思います。また規模の大きい病院などでは、将来的に部門のリーダーになるような方は修士以上の学位を持った人材を、という時代になってきているのではないでしょうか。

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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