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大学院特集2019

2017.11
保健学専攻 医用画像工学分野
本間 経康 教授

Q. どのようなテーマで研究をされていますか?

当分野では、ミクロレベルの神経細胞活動からマクロレベルの脳機能に至るまで、実際の現象をより正確に可視化すること、そしてそこから医療・生命科学に有用な情報や機能を発掘・提供する研究を行っています。たとえば、脳の情報処理機構の数理的解析結果を基に、画像診断における専門医の読影論理や画像解剖学的知識を数理的に実装することで、一般的な画像解析では実現できなかった高性能な診断・治療支援システムや、これまでにない革新的なX線断層撮影システムなどを開発しています。最近流行の「人工知能」の医療応用といえば想像しやすいでしょうか。

Q. 専攻の特徴を教えて下さい。

放射線技術科学コースは、医師や診療放射線技師に加え、理工系出身者など、多様な分野の専門家で構成されていることが特徴だと思います。東北大学は伝統的に医工連携が盛んですが、放射線技術科学における医工連携の国際拠点を目指して、様々な国の研究機関との学術交流なども積極的に推進しています。また、オートプシー・イメージングセンターの運用や医学物理士養成コースなど、特色ある取り組みも多くあります。たとえば、医学物理士養成コースでは、合格率約3割の難関認定試験に、コース設置以来連続して合格率100%を達成しています。

Q. どのような学生に大学院に来て欲しいですか?

何事にも自ら制限を設けすぎず、柔軟に、かつ辛抱強く探究する志のある方は色々な意味で尊敬に値します。もちろん基礎学力や専門性は大切で、研究を進める上では必要不可欠ですし、実社会(臨床)における課題は疑いなく重要な研究題材ですが、実用的もしくは短期的解決に加え、長期的な展望にも目を向けてもらえればと思います。また、一人でできることは限られていますので、(ときには懇親を深めながら)仲間と検討したり互いに協力したりできるのが研究室の良いところです。当分野では、企業や異分野の研究機関との学際的共同研究も盛んで、国際的研究環境もあります。人工知能はある意味で人間、しかも一般の人ではなく専門家、の能力を凌駕する時代に突入し、人間の知能を補完もしくは高めることが期待されています。知能の本質を多面的に探り、それを医用機器開発などを通して医療へ応用する研究に興味のある方を歓迎します。

Q.医学部で研究するということはどんな意義があるでしょうか?

進歩著しい保健・医療分野において、最新の情報を調査・理解し、それを業務に活かすこと、さらには新しい有用な情報を自ら発信できる能力を身につけておくことは極めて重要です。そのために役立つのが大学院で学ぶ見方や考え方、学術的方法論であり、それらをある一定水準で修めた証が学位です。医療には、超高齢化など様々な社会問題が密接かつ複雑に関係し、より良い解決策が求められる中で、放射線技術科学の領域でも学位取得者の社会的需要は高まっています。学位は、研究者や教育者を志す方にとって必須なだけでなく、臨床業務でもとくに指導的立場に就く方は、学位取得者の割合が増加しています。学術的素養を身につけた方が増えることで、保健・医療をより良いものに発展させることが可能になるはずです。

※所属や職名などは、記事発表当時のものとなっております。

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