活動内容

サイエンスカフェ 再生をめぐって-生命科学と、デザインの立場から - 大震災を越えて

東京・霞が関、文部科学省旧庁舎1Fで毎月開かれているサイエンスカフェ。5月27日の回には、大隅典子・拠点リーダーの出演がもともと決まっていましたが、3月11日の地震を受けて、内容を再検討し、東北大学で最も被害が大きかった工学研究科から本江正茂氏を迎えて、「再生をめぐって 〜生命科学と、 デザインの立場から―大震災を越えて」と題して行われました。大震災を受けて、そこから如何に立ち直るか、議論が行われました。


大震災以来、東北の研究者ばかりで構成された一般向けのイベントが首都圏で行われたのは、ほぼ初めて、と言ってもいいような状況だったでしょう。東北大学も漸く、講義などが遅れながらも始められて、急場をしのいだ後の復旧、という言葉が、現実感を持ち始めた頃です。イベントは、建築・デザインを専門とする本江氏が震災とその状況をビビッドに伝える講演を、そして、生命科学を専門とする大隅氏が生命における再生のあり方からヒントを得られないかという講演を行った後、対談と会場を交えたディスカッションを行いました。




本江氏の講演では、大地震直後の仙台の様子から、情報・物資・ライフラインなどが途絶した中での仙台での生活、そして、大学の状況などが、数々の写真を交えて克明に報告されました。激甚な津波被害と比べて、必ずしも表面化しない都市・仙台での人々の状況については、それまであまり語られてきませんでした。それを、日常にささった数々の「棘」、といった印象的な言葉と、困難な状況下で撮られた、被害を写しながらも温かみのある写真で構成され、同じ仙台で暮らしていた者が聴いても、ああ、そうだった、うまく言葉にしてくれた、と感じさせるものでした。大隅氏の講演は、敢えて、具体的な被害には力点を置かずに、生命が再生する様子、仕組みを通じて、そこから復興へのヒントを得ようとするもの。小さな構成単位それぞれが主体性をもってみずから環境を整えていくことの重要性が、本江氏との対談とも併せて、浮かびあがりました。
日常生活の困難が全ては去らない中で、東北から、東京で、この時期に状況を発信できたことの意義は大きく、Ustream中継されて全国から視聴者からも、多くの反響を頂きました。

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