下條信輔 教授(カリフォルニア工科大学)特別講演開催(11/2)のお知らせ
日時:11月2日(火)9時―12時
場所:生命科学プロジェクト研究棟・1F講義室
http://www.bsc.tohoku.ac.jp/navi/navi4_access.html
題目:クオリア?〜心の主観と行動/神経の客観
要旨:「脳と心の神秘」を「脳と心の関係の神秘」という意味にとってよいなら、クオリア(感覚質)の問題こそ、その最たるものだろう。クオリア問題とは、たとえば「私の体験するこの赤い色の感覚質は、なぜ斯くのごとくなのか」という問題を指す。クオリア問題は、本当にハードプロブレム(=科学の進歩で解け得ない問題)なのだろうか。ここでは心理物理学、神経科学における最近の瞠目すべき知見や現象―とりわけ知覚アウェアネスに関する行動、電気生理、神経病理の知見―を足がかりに、(1)クオリア問題が少なくとも部分的には擬制問題であること、(2)一枚岩のハードプロブレムに見えたものも、いくつかのイージープロブレムに分解し得るケースがあること、さらに(3)クオリアが解決不能な難問に見えた仕組みそのものも、生物学的/神経科学的/言語学的制約条件から了解可能であることを示したい。